第54章 original~反実仮想篇~
「……んんんっ」
目を開けてみると、四楓院家の別邸、私と喜助さんの家にいた。さっきまで違う場所にいたような気がするのに。夢でも見てたのかな。
「ごめんください!ごめんください!」
外から聞こえる声に、なんの気もなしに玄関へと向かった。
「寝巻きじゃないですか!寝てましたね!」
目の前にいるのは……めっちゃ見たことある人。誰だったかな……
「えぇと、すいません……どちら様ですか?」
「寝惚けてるんですか?確かに自分は毎日顔を出してるわけじゃないですが!高橋です!高橋!真央霊術院で補佐しています!」
「はぁ……?」
そう言われたらそんな人がいた気がする。
「はぁ、じゃないですよ。早く身支度してください!昼1番の授業は自習にしましたから!次の時間には間に合わせてください!」
「ん?授業……?」
「いい加減にしてください。蓮美ポインティ先生」
「は、す……み……?」
蓮美と呼ばれてどこか違和感のようなものがあった。違和感は刹那のもので、数秒後には全く気にもとめなかった。
「……随分お疲れのようです。体調不良と伝えますのでどうぞ休んでください。」
「えぇ……」
高橋さんが去っていったので、家に入る。
部屋をくるりと見渡す。
幼い頃からここで暮らしてたのに、なぜこんなに懐かしさを感じるのだろうか。
家具や置物を手に取ってみて、じっくりとみる。
喜助さんが隊長になったときの最初の花見で撮った写真を注意深く見てみる。
違和感のようなものがなんなのか、霧のように掴めず、それでも特に解明しようと思わなかった。
手帳を見つけて内容を確認する。そうだった、今日は昼から授業があったんだ。でも、寝坊したらしい。
授業……何しようとしてたのか全く思い出せない。記憶喪失というわけではないけれど、曖昧である。これが違和感なのかな?だとしたら原因はなんだろう。
どちらにせよ、明日は休めないし、指導案を探して対策を練ろう。
手帳をパタンと閉じて、顔を洗うために洗面台へ向かった。
「あれ……」
鏡に映る自分の姿がおかしい。おかしいというのは語弊があるけれど、見慣れているはずなのに、見慣れない顔があった。
私であるのは間違いないけれど、あれ?こんな顔していたか?という違和感。……シミの数が増えたとか?