第53章 original~魂葬篇~
女性はそう言いつつ、その食卓を眺めていた。
ご飯の後、ひとり遊びする修ちゃんと、食器を洗うお父さん。まるで姑のように小言を言っている。
お風呂にもまさかの入ってしまって、お風呂上がりにはまたぷんぷん顔だ。
「髪の洗い方、あんなに擦ったら禿げちゃうじゃないの!」
暫くして、修ちゃんがすっぽんぽんで走っていく。
「パジャマが気に入らないのよぉ……修ちゃんが自分で選べばお着替えもするのに。先が思いやられる……」
修ちゃんは暫くして、ひとり遊びを始めた。
「あんだけ寝たら暫くは寝ないぞぉ。」
ひとり遊びを見ながら、お父さんはビールをあけた。
「ちょっとあけすぎでしょ?」
ものの1時間で缶ビール4本。普段は1週間に2、3本だったそうな。
缶ビールを飲んではため息。飲んではため息。
「腹立つ〜!!!」
「あんまりそうカッカすると、ここにいる時間減っちゃいますよ?」
「んんんんっ!!!!」
「2時間程度ですね。それ以降は私がいつでも魂葬できる状態で斬魄刀を構えておく必要があります。」
「わかったわ。2時間ね。今の見てて書くこと増えちゃった。たくさん書かなきゃ。」
さっきの部屋に行って明かりをつけてノートに向かう。
そんな変化すら気付かないくらい、お父さんは心ここに在らずだ。
無理もないだろう。
あれから2時間が経った。
「……あの山岡さん。」
彼女の胸の鎖が安全圏を超えたので、斬魄刀を出した。
「刺されるの!?」
「大丈夫です!刺しません!」
「痛いのは嫌ですからね。」
「ノートはどうです?」
「書けました。あと、もう少しだけ、」
「構いませんよ。」
チラチラと、彼女を見ながら警戒する。
「胸、苦しくないですか?」
彼女の額から汗が出ているし、呼吸が荒い。
「大丈夫……こんなの、出産にくらべたら……」
5分ほど経ったあと、よし、と行って立ち上がった。
「完成!」
『引き継ぎノート』
と書かれて可愛い絵が描かれたノート。
全てのページに細かく様々なことを書き記している。
愛情のこもったものだ。
「ここに手紙を置いてたらいいでしょ。」
「もう悔いはないですか?」
彼女は晴れやかな顔で頷いた。
「私は幸せね。死んでからこうやって家族に遺すとが出来た。」