第53章 original~魂葬篇~
「す、すいません、入れてもらえませんか!?」
ささこも乗らざるをえないと声を上げた。
扉が大きく開かれ、女性が手招きする。私と女性が入ったあとに、2人が入った。
「すいません……私、ここの住人なんですけど、鍵忘れて……家の前で2人で座ってたら男の人が下からずっと見てきて……それで、」
「そしたら、どうやったのか、マンションに入ってきて、私たちのところにやってきたんです、鍵が無いなら、おじさんと一緒にどこかに行こうよって……」
「怖くてすぐ階段で逃げたんですけど、どこかに入る方が安全だって思って……」
お義母さんはうんうん、怖かったね、暫くここにいなさい。お茶を出してあげるわ。と言ってリビングへと通してくれた。
「孝江さん、警察にお電話した方がいいんじゃないですか?」
「えぇ、そうね。」
「あっ、警察は……」
「さっき連絡しました!」
「あらそう?」
リビングにもう1人の女性と男性がいた。
「お母さん……お父さん……」
彼女の両親らしい。遺品整理をしているとのことだ。
「大丈夫ですか?」
「え、えぇ。……あの人と息子はどこかしら。」
扉が半開きの暗い部屋の中を覗き込むと、屍のように動かない男性と、腹を出して隣で眠る子供がいた。
「はぁ。また風邪がぶり返しちゃうじゃない。」
彼女はそっと布団を掛け直した。
「まったく……もう私が居ないのだから、貴方がしっかりしないと。」
そう言って男性の背に手を置いた。
「少しだけ席を外します。」
3人を残して部屋を出た。
「どれ、私が見てこよう。」
七海がでっち上げた怪しい男を探しに女性の父親が外に出た。
「ごめんなさい、うちも色々あって……」
和室には女性の幸せそうな写真と遺骨がある。
「この前、葬儀が終わって漸く落ち着いたの。気持ちの整理はまだなんだけれど。……高校生にする話ではなかったね。どうぞ、紅茶です。若い子が食べそうなお菓子は無くてごめんね。」
暫くして、お父様が特に怪しそうなやつはいないと言って帰ってきた。用心に越したことはないから、暫くここに居た方がいいとのこと。
30分ほど経ち、日が暮れた。
緊迫ではないが、そろそろ鎖の長さが安全圏を超える。
彼女のいる部屋に入ると、彼女は用意していた手紙の他に色々書いていた。