第53章 original~魂葬篇~
「そりゃ……犯人捕まえたくらいでどうこうできんわなぁ。生き返りたいって思うよなぁ。」
女性の話は私がいちいち七海に伝えているため、難なく会話が行なえているのである。
「生き返りたい……うーんそれは少し違うかなぁ。初めは思ってたけど……今はそんなに?」
「肉体が消えたら魂の還る場所はひとつになる。本能的に尸魂界へ惹かれていく、故に生への執着が弱くなる……ていう説があるけれど、んま、人それぞれですよね。生きたいわけではないけれどやり残したことがある。なら、付き合いますよ。」
そう言って彼女の胸から伸びる鎖を見た。今日中なら焦ることはない。
「ありがとう。……じゃあ頼んでもいいかしら?」
海が夕日に染められてキラキラと光る。
その眺めを一望できるマンションの前へと足を運んだ。
「このマンションですか?」
「そうよ、501号室。」
「霊体なのに厄介な物理法則が適応される不思議世界だからね、どうにか扉を開けて貰えなきゃ入れないんだけれど……。」
そう言ってると、エントランスの向こう側から人が出てきた。しめしめとマンション内へと侵入する。
「ポスティングじゃあかんの?」
「悪戯と思われるかもしれないじゃない。」
「そっかぁ」
5階のボタンを押して1番端っこの部屋の前に来る。
「どこか空いてるとこないかな……ちょっと見てくる。」
ささこに中に入ってもらい、死神化する。
「あらぁ、すごい〜」
なんてパチパチ手を叩く女性。
窓を軽く引いてみたり扉を押したり、ベランダへ回るもしっかりと施錠がされている。
「はてさて、どうしたものかなぁ。」
「私がピンポンしようか?」
七海があっけらかんと言ってのける。
「え、どんな用件で?」
「新聞とか?」
「うちの家、カメラあるのよ……制服でそれはさすがに……それに新聞なら扉は開けないわ。」
「じゃあ、テレビ?宗教?回覧板?まぁなんでも言いようはあるさ!」
そう言ってインターホンを押してしまった。
「うちの人、出るかしら……。」
「出たら、入ってよ?」
「御意。」
なんどかピンポンを押すと、中から女性の声がした。
「お義母さんだわ。」
「すいません!今、変な人に追われてて!!!中に入れて貰ってもいいですか?!」
はぁ?!と言ってしまった私。
ちなみに、私と女性の話はささこが七海に伝えている。
