第52章 original~空座町怪死事件篇~
「貴方は他人の気持ちを汲み取りすぎっス。これに関しては最近の出来事、前科がありますから否定は出来ませんよ。」
前科とはなんぞや、と顔をしかめた。
「……虚圏のことッスよ。貴女、帰ってこようと思えば帰ってこれたんですよね。」
あー、と目を逸らしてからぱっと彼を見た。
「でも、あの状況で帰ることを選択するのは無理ですよ!!!」
「虚圏の件以外にも、そのようなことが度々見受けられます。否定しますか?」
「……。」
こめかみをグリグリと押してみる。
「貴女の年齢でそれでは後々大変ッスよ。バーンアウトだってしかねない。他人の為に自分が壊れることがあっては本末転倒ッスよ。特にこの世界では、直接死に繋がることだってある。」
「……うん。」
「少しだけ、強く言いましたが。……貴女を失いたくないから言ってるんですよ。」
喜助さんは私の足元に座った。
「貴女の肉体が滅びるのは6~70年後くらいでしょう。それからはまた死神としての長い人生が待っている。アタシは若い部類ではありませんが、まだまだずっと元気でいられます。しかし、どう考えても貴女よりもずっと早く死ぬことになります。」
心臓がギュッと締めつけられる感覚があった。
それは、ずっと考えないようにしてたことなのに。
「そんなこと言わないでよ……」
「そう思うならば、一緒にいられるように考えてください。」
「みんなに頼ってるよ。頼りっぱなし。今回だって喜助さんには頼ってばっかだったでしょ。」
「それはアタシの仕事です。貴女から仕事をもらって、引き受けたんです。」
「副隊長たちに報告書とかお願いするし。」
「彼らは隊長を補佐するのが仕事です。」
「現世の生活もあるし、みんなに任せきりにすること多いでしょ?だからさ、少しでもみんなに楽してもらいたい。それに……私、イレギュラーで死神になって、隊長になったんだよ。六ノ宮みたいに、私のこと気に食わない人だっているわ。そういう人達がいると思うとやらなきゃと思うの。……嫌われたくないのかもしれない。」
「アタシも言われたんッスけど……これは隊長だった者としてのアドバイスだと思って聞いてください。『上に立つ者は下の者の気持ちは汲んでも顔色を窺ってはいけない。』」