第52章 original~空座町怪死事件篇~
とはいえ犯人はひとりだ。
「総隊長からきつく言われたようなので、何もいいません。だけど、アタシの小言は聞いてください。」
「喜助さんの小言って、なんです……」
私は少しだけ目を細めた。
「お願いですから、他人の為に自分が犠牲になることをしないでください。」
喜助さんの目は真剣だった。
「自己犠牲……?総隊長にも似たようなこと言われたよ。」
「えぇ。死神は尸魂界を守るのが役目。そのために死ぬことだってある。しかし上の者が過度にそのような行動をすることは組織にとって良い影響を及ぼさない……総隊長はそう言う意味で言ったんでしょう。アタシのは、死神という立場や上に立つ者などそのような立場のことではない、ましてやアドバイスでもない。一人の男としての言葉です。」
風が2人の間を通り過ぎていく。
「私情じゃないですか。」
「ええ、そうッス。」
私は少し笑ってしまった。
「根底に死神としての誇りを持ち、尸魂界を追われても尚、尸魂界の為に尽くす貴方がそんなこと言うなんて。」
「貴女が言わせてるのですよ。」
自己犠牲、か。と私は呟いた。
「私がしなければその誰かが命を落とすかもしれないでしょう。もし、それが護るべき対象ならば私は命を落とさなければならない、それが死神。喜助さんはそれがわかっててその上で私に無茶をするな、と言ってるんですよね。」
「勿論ッス。」
彼は組織云々ではなく、私自身のことを言ってくれている。
「ポインティさん、友達との待ち合わせで、相手が遅れてくる時、何分待てますか?」
突然の質問に関係あるのかなぁと思いつつも答えた。
「連絡があるなら来るまで待つかなぁ。連絡無くても……待つかなぁ。とりあえず1時間はその場で待てると思う。それを過ぎるようならその待ち合わせ場所が見えるお店とかに入って待つかなぁ。」
喜助さんはため息をついた。
「で、1時間以上遅れて到着した相手にはなんと声をかけます?」
「なんて、、?……『めっちゃ待ったんだからね!』かな?」
「それだけッスか?」
「謝られたら『大丈夫!』とは言うかもしれないけど……」
喜助さんは頭を抱えてしまった。
「はぁ、本当にそういうところ変わってませんね。」
「え、え、?」
「心の中ではどうなんですか?」
「色々思うことはあるけど……それとこれと何が関係あるの?」
