第52章 original~空座町怪死事件篇~
「準備は」
「大丈夫ッス、」
「「千手の涯」」
やっぱりそうよね。喜助さんと詠唱が被った。
この建物、もつかなぁ。
「届かざる闇の御手 映らざる天の射手」
詠唱を唱えながら部屋を出た。暗い廊下を進んでジャンプした。
「光を落とす道 火種を煽る風」
院長室に転がる自分の左手を手に取った
「集いて惑うな我が指を見よ」
再び廊下に入って走り、部屋に入った。
「「光弾・八身・九条・天経・疾宝・大輪・灰色の砲塔」」
喜助さんの横に着いた。
「「弓引く彼方 皎皎として消ゆ」」
花月が出した花びらが生物兵器の中に入っていく。
「「破道の九十一【千手皎天汰炮】」」
光の矢が生物兵器へ注がれた直後、爆風吹き荒れる中、喜助さんが動いた
「【火遊紅姫 数珠繋ぎ】」
「【火樹銀花】」
中で爆発が起こっている。目たちは白目を向いて後ずさるような様子をみせた。
右手に持った左手に霊力を流し込む。
「……これは!!」
「喜助さん、離れて!!」
左手を扉の向こうに広がる空間に押し付けた。
赤黒く焼け、ヒビが割れる。
右手が熱い。
「破道の九十六【一刀火葬】」
左手が空間の中で燃え広がっていった。床であるべき場所、天井であるべき場所、壁なんてないかのように向こうまで燃え広がり、火柱が空間を燃やしていく。
空間の向こう側では聞くに耐えない悲鳴が響いている。
鉄の扉を肩で閉めて、喜助さんと共に脱出した。
夜明けのカラスが鳴く空。
原っぱに座り込んだ。
「犠牲破道なんて無茶なことしますね。」
声色が少し低く、淡々としている。
「炎月の黒炎で焼けなかったし、あの広大な空間を焼く程の黒炎が出せなくて。……私の修行不足。炎が有効ならこれしか無かった。連続攻撃した上で一刀火葬すればもしかしたら、と。」
扉の向こうは広大な空間で、空間そのものが生物兵器だった。
「はぁ。ま、今日は何も言いません。」
右手の掌は真っ赤に焼けただれている。
「ここまでになったら、完治には井上サンの力が必要っス。」
「先にここの保管をしないと。」
「またそうやって自分を後回しにする、」
「貴方も人のこと言えませんけど?」
そう言って立ち上がった。
「喜助さん、すいませんが私の代わりに通信機触ってくれませんか?」