第52章 original~空座町怪死事件篇~
「どのくらいもちます?」
「1時間ですね。」
「充分。」
立ち上がって地下への扉に手をかけた。
はしごを使わずに降りた。
喜助さんがハシゴで降りた時、通信機が鳴った。
東雲四席がアリカを捕まえたらしい。
「どうするか、総隊長の指示に従おう。私はここの搜索を続ける。9時には尸魂界に戻るから、それまでは東雲四席が指揮を執って。」
『承知っす。』
喜助さんは、コンピュータを触り始めた。
「腕を切り落とすのは抵抗がありますからね。……これか、」
ブレスレットが音を3回鳴らしてから外れた。
「お、外れました?」
「……よし、大丈夫ッス。ついでに、そこの鍵も外しました。」
アリカが消えた扉の向こう側、ずっと言い知れぬ威圧感を感じていた。
扉に触れると、冷たい感覚が脊髄まで響く。
鉄の扉故では無いだろう。
この先に"何か"いる
しかも複数……
「扉にも張り付いているような、そんな感じッスね……はてさて、片桐松治さんが尸魂界で作った生物兵器の姿……見てみますか。」
「え、この中そうなの?いや、禍々しい何かいるのは分かってたけど、生物兵器?」
「そう、生物兵器の細胞の一部を蟻に移植してあの化物ができた。ここには、生物そのものがいるハズッス。」
「……わかった。」
炎月を出して炎を纏わせる。
「……禍々しい霊圧。でも霊子で出来てるのなら……扉、開いてもらいますか。私が先陣をきります。」
喜助さんが頷いて鉄の扉を開いた。
中は真っ暗だった。吸い込むように風が吹いている。
『ここに入るな』
本能が訴えかけている。
「……。」
「いますね。」
「……中に入る?」
「……いいえ、それはおすすめしません。」
突如、闇しかなかった空間に無数の"目"が現れた。"目"が笑っている。私たちを見て、笑っている。
黒く、細い子どもの手のようなものが伸びてきた。
「……っ!炎月!!」
炎月で薙ぎ払うと、目は私を睨んでいる。
無数の黒い手はどんどん伸びて私を捕らえようとする。
「剃刀紅姫」
紅姫の斬撃に怯んだ黒い手は、扉から数を増やし、喜助さんと私を捕らえようとする。
紅姫の斬撃は部屋のなかへ向かっていった。