第52章 original~空座町怪死事件篇~
喜助さんはゆっくりと座り込んだ。
「喜助さん、具合悪いところない?大丈夫??」
「えぇ、だいぶキツイッスが……貴女程じゃありませんッス。」
「……ッ!!!!」
一気に左手に痛みが出た。
「し、止血……しないと、……」
「隊長羽織脱げますか。」
喜助さんは自分の袖口をビリビリと破り、肩の所で破った。断面は圧迫されている。
「ぁぁぁうっ……はぁ、はぁ、」
隊長羽織を肩から被せられる。
「今は小言は言いません。とにかく、ポインティサンは応急処置をしてもらってください。」
「待って!やらないといけないことあるでしょ!!」
「……アタシが見てきますから。」
「喜助さんだって重体なんだから……。あと10分待って、止血と痛み止めくらいなら出来るから。」
私は右手を左手に添えた。
簡単な止血を施していく。
『やぁやぁ、ポインティの恋人さんや♪』
風花が具象化してきた。
「秋風、仕事!!」
『風花!戻るよ!!』
『もぉ!なんでぇ??荷物の場所教えようと思っただけだよ??』
「凄いッスね、こんなにハッキリと他人にも見えるなんて。」
『紅姫と荷物はこっちこっちー着いてきて〜』
「喜助さん、立てますか?」
「ええ、では連れて行ってもらいます。」
暫くして、喜助さんが戻ってきた。
「風花サン、"彼女"とお話したそうッス。なかなか口をきいてくれない難しい方なんですけど、不思議ッスねぇ。」
"彼女"というのは紅姫のことだ。
『めっちゃキレーな女の人だった!』
「そ、そうなのね……」
喜助さんが鞄を漁って私に近寄ってきた。
「止血は大丈夫ッスね、痛みはどうっスか?」
「……まだ頑張る。」
「一応、局所麻酔はできますけど?」
喜助さんが銀の箱から注射器を取り出した。
「え、喜助さんが調合したの?」
「まさか、資格のある人に教えてもらったんッス」
「ほ、ほんとに、大丈夫なやつ?」
「大丈夫じゃないものを勧めるわけないじゃないッスか。」
腕を出した。
「じゃ、行きますよ〜」
「うううっ!!」
「完全に感覚が無くならないですが、返ってそっちのがいいでしょう?」