第52章 original~空座町怪死事件篇~
そして、建石さんの首にあった傷のようなもの……あれと似たようなものが喜助さんにもある。
「まさか……喜助さん……卵を?」
「……そう、みたい……ッスね。」
「えっ……なんで?なんで早く言ってくれなかったの?気付いてたんでしょ。」
「地図の裏の言葉、見えてたんっスね……。貴女に心配かけないように……黙ってました。メモも見せないようにしてたんスけど……」
「……ごめんなさい、気が付かなくて」
喜助さんは少し顔を上げた
「いいえ、貴女の様子も伺ってましたが……卵を産み付けられたのはアタシだけッスね。今、首を確認しても腫れてる様子はなかった。……よかった。」
「良くない!!良くないよ!!!」
顔をふるふると横に振った。
「嫌だ、ねぇ、どうしたらいい?どうしたら卵を取り除ける?」
「それを今……調べるところッス……」
「蟻を倒しに行けばいい?」
「すんません、さっき言ったのと矛盾してますが、ここにいてください。身体の痛みが増してるのに眠気が酷くて。起こしてほしいッス。」
「うん。」
喜助さんの隣について喜助さんを揺さぶりながら作業を見ていた。
「女王蟻と働き蟻は共依存の関係にある……」
「わかった?」
「一か八かやってみますか。」
そう言って喜助さんは立ち上がったが、キツそうだった。
「喜助さん、休んでてよ。私がやってくる。」
「いいえ、1人になったらダウンしそうなのでついて行きます。」
「ハシゴは先に上がって」
部屋に着いて窓を見ると夜明けが近いのか、ほんの少し外が明るくなっていた。
「女王蟻、光でおびき寄せられるかな?外明るくなってきてるけど。」
「あさに……なると、あ…り…は、ここから、でてしまう……そうです……その、まえに、なんとかして」
「……喜助さん?」
喜助さんは立膝の状態で床に手をついていた。
「はぁ……はぁ……はぁ」