第52章 original~空座町怪死事件篇~
「鬼道を扱わせたら早いッスね。」
「あとで喜助さんのお腹と首の治療するから!……早く色々しちゃって!」
肉塊に最後の攻撃を食らわせる。形を保てなくなった肉塊はそのまま焼け焦げていった。
「ふぅ、終わったよー。」
喜助さんは目に隈を作って画面に向かっている。
「……」
それを黙って見てから背を向けた。
「アリカさんが入った部屋見てきた方がいい?」
「……鍵……かかってるっス。」
「そうか。喜助さん、ここに残る?この傷、応急処置したとて戦闘は厳しいでしょ。鬼道使えるなら虫は怖くないし。」
「……ポインティサン、こっち来てもらえます?」
「うん?」
喜助さんはそう言うと私の手を引いて抱き寄せた。
「は、え、?」
後ろから抱かれて、髪の毛を掻き分けられて肩より前に流した。
「喜助さん?ど、ど?」
喜助さんはそのまま言った。
「貴女もここから出てください。」
「え?」
「アタシが倒します。」
「えっ??えっ???いや、駄目だって、怪我してるし、第一、あの肉塊の攻撃もよけられない今日の喜助さんには……」
「貴女に何かあったら、一番隊はどうするんッスか。家族はどうするんッスか。」
「……だからそういうのはやめて欲しいって言ってるのに。」
私だけを特別扱いしないでほしい。
「私のことになったら過保護ですよ?」
「好きだから仕方が無いッスよ。」
私はくるっと、喜助さんをみた。
「……どうしたの?本当に……」
目の下に出来た隈を親指でなぞった。
「こんな喜助さんを1人には出来ない。」
喜助さんは私の言葉にカタカタと機械を触り始めた。
「……さぁここのデータの削除は1割にとどめられました。あとは、この1割を復元させ……ッ」
喜助さんが腕を抑えた。
「どうしたの?痛むの?あっ、お腹の治療してなかった!」
急いでお腹の止血をした。
抑えた腕に外傷はない。
「……ッ」
喜助さんは苦悶の表情で腕を抑えている。
こんなのは初めて見る。
かと思えば前かがみになって、荒い呼吸を始めた。
「ど、どうしたの??ねぇ、喜助さん!」
項が赤く腫れている。
ここで一つ、繋がった。
首のかゆみ、目の下の隈、そして身体の痛み
一階の地図の裏にあった言葉……