第52章 original~空座町怪死事件篇~
何故かお互い謝りあっている。
「あの、そ、の、全然大丈夫なんです、ただ……ちょっとあの、」
顔を隠した。今更になって急に恥ずかしさが出てきた。
「ううう、ごめんなさい、本当に大丈夫。しばらく喜助さんのこと見られないと思うけど。」
喜助さんはとんとん、と頭に手を置いた。
「ポインティサンはそっち見といてください。アタシは彼の死体を調べます。」
「……いや、あたしも調べる。お願い、されたから。」
彼に強く握られて少し痛む腕をさすった。
「無理してませんか。」
「うん。……喜助さん知ってると思うけど、 私にだけ死体の写真が黒塗りされた資料が渡されたの。多分、気遣いだとおもうけど、でも……やっぱり隊長としてはどうかなって。……藍染との決戦のときに、言われたの。『人の形をしたものを斬ることができるか』あの時は斬ったけど―もし、今後虚じゃなくて、人に近いものが敵になったら……私は隊長としての職務を全うできない。」
「ポインティサン」
「生きてるから、とか、こどもだからっていうの無しにして欲しい。」
「貴女らしいッスよ。」
喜助さんはベッドから降りた。
「でもここはアタシが見るッス。貴女は扉の外を警戒してください。」
そう項を掻きながら彼は死体に近付いた。
「ありがとうございます。」
喜助さんが見ているあいだ、廊下を警戒し続けた。5分も経たずして、喜助さんが声をかけてきた。
「資料通り、脳がありませんでした。……肉片は飛び散ってますけど。」
「う、うん。」
「ポインティサン、虫は嫌いですよね。」
突然の問いに、頭をはてなにしつつもはい、と答えた。
「彼の頭が破裂した後に音がしませんでした?」
「音?……ごめんなさい、覚えてないです。」
「まぁそうでしょうね。」
「虫と何か関係が?」
「いえ、なんでもないっス。先を急ぎましょう。」
生物兵器の形態の話をしているのだろうか。
喜助さんが部屋を出ようとするので、私は死神に手を合わせた。扉の向こう側に音が無いのを確認してから廊下に出た。