第52章 original~空座町怪死事件篇~
「ポインティサン、落ち着いてください。とりあえず一度、目を閉じて、深呼吸しましょう。」
彼女の手を握り、目を見るが、焦点が合ってない。
「ポインティサン、アタシの声聞こえますか、」
反応が無かったが、彼女の頬に触れてみると、少し目線が上がった。
「あ、あ、」
言葉が出ないようだ。
「大丈夫ッス、落ち着いてください。」
彼女の呼吸はさらに浅くなり、そして吸うばかりになった。
「は 、は っ 」
不規則な呼吸の音が部屋に響いている。
ポインティサンは前かがみになり、胸を抑えた。
肩を大きく揺らして身体を震わせている。発汗もある。
「落ち着きましょう。」
ポインティサンの横に座って自分に凭れかからせ、背中をさする。
過呼吸は落ち着かせることが重要だ。しかし、自分の声が届くか……。
「は、はぁっ……は、」
「僕を信じて、ゆっくり、大きく息を吐いてください。」
その時、彼女は手を強く握ってきた。
「大丈夫ッスよ、息を吐いて、」
彼女は言葉に反応するものの、なかなか上手くいかない。
次第に、彼女は支えなければ座ってられない状態になった。
さっき、吸い込んだ物質によって呼吸器もダメージを負っているはず。最悪、このままでは失神の恐れもある。
「ポインティ、」
肩をしっかりと固定して、目を合わせた。
「怨みっこナシっすよ……」
「は――っ」
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喜助さんの真剣な眼差しの後、口を塞がれた。
「……っ」
驚きのせいか、意識がはっきりとした。
喜助さんにキスされてる、その事が頭を支配する。
喉から声が漏れた。
頭がクリアになったが、またぼうっとしてくる。
だんだん身体の力が抜けていき、筋肉の緊張が解れていった。
「……はぁ……はぁ」
唇が離れた。
呼吸が落ち着いていく。
「すんません、こういう方法もあると聞いたんで。」
「いや……大丈夫です、」
「突然こんなこと、すんません。」
「あ、いえ……急だったから、びっくりして、私の方こそ、させてしまってすいません。」