第52章 original~空座町怪死事件篇~
扉を閉めた喜助さんは、彼に声をかけた。
「話せますか。」
男性はゆっくりと喜助さんに手を伸ばした。
「これは……鍵の束?」
「試して……みて……ください。」
「ありがとうございます。」
喜助さんは後ろ手でベッドを掴んだ。
「持ち上げますので、手錠の鎖をベッドの脚の下から潜らせてください。」
喜助さんがベッドを持ちあげて、床と脚の間から鎖を通して行動できるようになった。
私は死神の方へ向かった。
「私は一番隊隊長、佐伯ポインティです。貴方の所属と名前を教えてください。」
「十三番……建石……篁……」
「建石さん……二班の班長……貴方の他の仲間は?」
「ううっ……」
建石さんは苦しそうな声をだした。
「怪我をしてるのですか?」
回動ができない以上、私は見ることしかできない。
「ポインティサン、アタシの鍵はありませんっした。」
「えっ、そんなことある?」
私に渡された鍵だったが、手錠を自力で外すなんてことできない。
「ポインティサン、立ってもらっていいっスか?」
「うん、」
鍵を取られて、後ろで金属が重なるチャランという音がした。
そして、あてがわれる鍵は見当はずれなところをさしているが、探るようにして鍵穴に入れる。
「喜助さん、あの、どうやって鍵開け作業してるんです?」
「ん?んんん、」
「ん?」
振り返ると喜助さんが鍵を咥えていた。
「口で鍵を、、、?」
「ん、ん!」
「なんですか、この図……」
10程ついた鍵だったが、1つ目で奇跡的に開いた。
「あ、ありがとうございます……なんか恥ずかし……」
「こういうプレイも悪くないッスねぇ〜!」
「言ってる場合ですか!」
自由になったので、建石さんに近寄って背中をさすった。
汗でびっしょり濡れている。あまりにも苦しんでいるので、首で脈をはかろうとした。
身体が熱い。脈が早い。明るくないからわからないが、首に傷がある。引っ掻いたようなものだ。そして、ぬめりを帯びた液体が頭から垂れていた。
直感的に血だとわかった。
「頭を怪我してるんですね、待ってください、頭を固定しましょう。」