第52章 original~空座町怪死事件篇~
「偽名使ってる恐れはないんっすか?」
「さぁ?顔は覚えてますけど名前は残念ながら思いだせないので。アタシが記憶してる、彼が買ったものはこれっスね。購入欄からこれを買った人をピックアップしつつ、片桐を探してください。」
顧客帳を幾つも取り出した。
「こーゆーのは涼風五席の得意分野っすけど……まぁやりますか。おーい、お前ら手伝え〜」
隊員総出で名前を探した。
数時間後、隊員がそれらしい人を見つけた。
「片桐松治……買ったものも同じ。この人で間違いないっスね。」
「今から71年前っす。」
「彼が息子の松吉に病院を譲ったのが70年前。何かあるかもしれませんねぇ。」
「普通の人間ならもういないよね。この人の孫?病院を廃業にした人は何してるんだろう。」
「"普通の人間なら"っす。普通の人間がこんな胡散臭い店で買い物しますかね?」
「……」
東雲四席の言葉に同意してしまい黙ってしまった。
「え、ポインティサン、胡散臭くないって否定してくださいよ!!」
「あはは……買ったものが義骸の材料になるものなんだよね?」
「ええ、この購入数からして、一体分の材料ではありませんね。これらは現世にはない物質で出来ていて、人間が知るはずのない物ッス。それを彼が買いに来た、ということは、恐らくこちら側の人間でしょうね。」
「浦原殿は彼のこと覚えてないんですか?」
「顔を見て、思い出しただけ褒めて欲しいッス。確かに当時は疑問に思ったでしょうけど、ワケありの人は上客になるんで、あんまりこちらから詮索はしません。」
「ワケあり?」
「以前のアタシみたいな者ッスよ。」
「尸魂界にいられなくなった人……?」
じゃあもしかしてこの片桐さんも?
「喜助さん、初代院長、創業者の名前は?写真は?」
「片桐松次郎、顔は……荒い白黒の写真がここに。」
それはどこかの写真館で撮った写真のようだ。
「第一総合病院のサイトに創業史があったみたいで、今はもうサイトも閉鎖してますけど、写真は見つけ出せました。」
「これ、プリントアウトしてもらっていいですか?」