第46章 original~霊障篇~
「ノックもしないで、なんですか。」
そう言ったのはおひいさまの付き人らしい女性。
彼女らは意気揚々と「目標達成した」と伝えた。
そのテンションとは裏腹に彼女は静かに目を瞑り、わかりました。とだけ呟く。
「霊力はそのうち本部に送られることでしょう。とにかく予定分は行いなさい。ノルマ達成の件はお上には伝えておきます。」
付き人がそういうと、彼女らは頭を下げて出ていった。
リンと私はその場に残った。
「他の支部の分も合わせると十分でございましょう。お上もお喜びになるはず。」
「……。」
どこか憂いを帯びた瞳で俯く彼女はどう見ても訳ありだ。
「神への捧げ物でございましょう。……貴女さまは心優しい方ですので、このようなやり方は納得がいかないでしょうが。」
「……」
"神への捧げ物"か。
霊力をどこかに捧げているだけならば、私の斬魄刀も無事である可能性は高い。
「彼らの崇拝対象はなんだっけ。」
「簡単に言えば道祖神ですね。昔から信仰されていたものが形を変えて行ったらしいです。」
「本部の場所は?」
「本部は横浜というところですね。」
「横浜……都会に道祖神なんて古い信仰が根付いているように思えない。」
「発祥ではないでしょうね。」
「おひいさま、これは人々を守るためでもあります。大勢を守るには、多少の犠牲はやむを得ません。貴女の母上もまたその一人。皆を守るため殉教なさった。」
「あなたは、」
おひいさまがガタッと立ち上がった。
「あなたはあれが"神"だというわけ!??!本気でそう思うの!?あなただって見たでしょう!あのおぞましい姿を!!!!あれに私の先祖や貴女の先祖。守葺が村として形成してからずっとずっとずっとずっとずっとあれの手のひらの上で転がされてきたのよ!!!たとえノルマ達成したとしても、また次から次へと要求があるわ!私の母の魂を食らったように!!!!!!」
リンが私を呼ぶ。
「魂魄を食らった、か。」
「我々の案件ですね。」
「このことを外のみんなに伝えてきて。あと五席以上に情報共有。レンには総本部への情報共有を。こちらで動くことを伝えてきて。」
「はい!」
リンが出た直後、取り乱した彼女を宥めるために付き人がアロマを焚き始めた。
「いや!いや!!!いや!!!!」
「おひいさま、気をしっかり!」
「いや!!やだ!」
