第42章 テセウスの船
ポインティと同じ姿で同じ声同じ名前の貴女のことを知るためにゆっくりと話す場を設けました
話せば話すほど、髪を触るところや困った時に口を覆うところ、上手く言葉が出ない時の手の仕草。
全てがポインティそのもので。
一つの可能性に辿り着きました
彼女は蓮美ポインティの転生した姿だ、と。
貴女が一番隊の隊長となり、ここを拠点とし暮らす中でそれは確信に変わりました。
魂魄の記憶の封を解き、許容量を超えた情報が入ると一時的に錯乱状態、混乱状態に陥る。
アタシと共に成体になってない破面と戦い、何かの拍子で記憶の鍵が開かれた際に
「私を一人にしないで」
と涙を流したのを見て、彼女は、ポインティだと思いました。
だけど貴女に記憶が無い以上、無理に封を解いてしまっては貴女の脳がパンクする恐れがある。
だからアタシはこちらからアクションを起こさなかった。
いや、起こせなかった。
何も告げずに貴女の前から消えたアタシが今更どんな顔をして名乗ればいいんスか。
彼女は転生して、今の生があるというのにそこにアタシが入り込むなんてことが許されるはずがない。
だから必要最低限は出来るだけ関わらないようにしようと思った。
ポインティの幸せの中に僕がいなくていい。
貴女が幸せならば僕も幸せだ。
だからポインティの幸せを願うことだけ許してほしい
そう思うように徹していた
しかし、アタシの知らない所で記憶の封は解かれていったようで
貴女が虚圏から帰ってくるころには貴女が蓮美ポインティの転生者でアタシと恋人だったこと、知ってたんッスよね。
貴女の中で葛藤したんでしょう。
蓮美ポインティを受け入れるか否か。
アタシは転生した貴女を蓮美ポインティと同じく愛おしく思います。
だからこそ、貴女にとっての最善を望みます。
貴女が蓮美ポインティを受け入れられないというならば、そのように接しましょう。
「自分がどうあるか、それは自分にしか決められないことッスよ。」