第39章 過去編 ~結~
「……?」
衣擦れの音で目が覚めた
起きるとまだ日が昇りきっていないのに喜助さんが死覇装に着替えていた
「起こしちゃいましたか~?」
「もう行くの?」
「昨日残してきた仕事がありますから。」
「まだ時間ある?」
「えぇ。」
私は立ち上がろうとするも、腰が痛くて立ち上がれなかった。
「無茶しちゃったんッス、ポインティさんは寝ててください。」
「伴侶が仕事行くってのに朝ごはんも用意しないなんてそんなのダメ。」
私は喜助さんが畳んでいてくれた寝巻きに手を掛け着ると壁を伝いながら歩いた。
「"伴侶"ッスか……」
独り言を呟いてみて、一人、身支度をした。
「昨日のお米の残りをお粥にしたの。あとは梅干しここにあるから。こんな朝早くからそんなに食べられないかなって」
「いただきます。」
優しい味が体に染み込んでいくようだ。
「美味しいッス」
「んふふ、良かった」
食べ終わり、出る準備をする
「喜助さん、あのね、この簪仕事中に落として……」
お守りとしてあげた簪は落としたというより、強い衝撃を加えられたように壊れていた。どんな状況でこうなったのか尋ねると躊躇いがちにその時の様子を語った。
「貴女に怪我はありませんでしたか?」
「ありません。」
「よかった。すぐ修理します。」
「ありがとうございます!」
「さて、働いてきますか!」
「じゃ、これどうぞ。洗っておきました。」
と隊長羽織を羽織らせてくれた。
「いってらっしゃい」
と笑顔で送ってくれる。
しかしその胸では、寂しさで溢れているのがわかる。
僕はなんて不誠実なのだろう。
恋人という関係ではこの人を不安にさせてしまうばかりだ
この人が僕と一緒になることを望んでいるならば…
「…この仕事が一段落したら伝えたいことがあります。」
「伝えたいこと?今じゃ駄目?」
「次帰ってきた時に。」
「うん、じゃあ早く帰ってきてね。……ほら、遅くなったらひよ里にまたキックされるよ。」
「そうッスね~そろそろ行きますか。いってきます」
頭をポンポンとすると嬉しそうに微笑んだ。
「いってらっしゃい」
彼女は大きく手を振った
何度も振り返る。
早く仕事を片付けて戻ろう。そしてこの気持ちを伝えよう。
―僕と一緒になってください、と。