第38章 過去編~鍵~
昨日の疲労も取れていないし、今日はさっと帰ってしまおう。
「お疲れ様です、お先に失礼いたします。」
「蓮美先生、さっき浦原隊長が来られてましたよ。」
「本当ですか?」
「大きな荷物を運搬していたので……何か依頼されてのことだと。」
先輩講師からの言葉で霊圧を探ってみた。
「あっ、本当ですね。顔出てみます。ありがとうございます。」
霊圧を感知した先に、喜助さんと何人かの技術開発局員がいた。
「あ、お疲れ様ッス〜。そろそろお帰りの時間かと思ってました」
「貴方がここに居ると聞いてね。何しているの?」
「電子機器のアップデートを依頼されてましてね。ちょうど届けに来たところッスよ。」
「浦原隊長、ありがとうございます。あとは我々がしておきますので。」
「なにか不具合があれば連絡ください。」
帰りましょうか、と言って撤収していく。
「浦原隊長、俺たち先に帰るんで、ゆっくり帰ってきてください!」
私たちを気遣ってのことだろう。
「門までお送りするッス。」
夜に向けて賑わう大通り。私たちはお団子をひと串ずつ買って食べながら歩いた。
「一昨日の夜更け、浮竹さんが十二番隊に来たんスよ。薬草の話、聞きました。まったく、夜一さんも無茶言いますね。」
誤解のないように、と弁明するように来たそうだ。
「断っでも良かったんスよ?」
「薬草も無事に取れたし、私も行きたいとこがあったから。」
「行きたいとこ?逆骨に、ッスか?」
「そう。逆骨の土着神の御堂に行きたくて」
「珍しいッスね。またなぜ、そのような?」
「ご利益があるって、聞いたばかりでね。近くに行ったついでに寄ってお参りしておこうと思って。」
「聞いた事ないッスね。流魂街に土着信仰?」
「私も不思議だったんだけど、霊王の右腕の力を有する、ミミハギ様が祀られてる御堂があって、」
「霊王の右腕?」
「そう、じゃあ、いま霊王様は隻腕なのかな?とか思ったりしたんだけど。」
喜助さんは私の言葉を待っているのか、黙っている。
「霊王様の右腕は『静止』を司るんだって。実は浮竹隊長も幼い頃にお世話になったらしい。なにせご利益があるって聞いたんで、私の厄も落としてくれないかなー?て。願掛けしに行ってきたの。」