第38章 過去編~鍵~
と言うか、浮竹隊長も知ってるということは、有名なのかな。
「有名なカミサマ?みたいですね。この辺り出身の生徒から教えてもらったんです。」
「有名かどうかはわからないけれど、遥か昔に天から落ちてきたとされていて、この辺りの住民によって信仰されているんだよ。土着神というべきだね。」
「どういった言われのある土着神なんですか?霊王様が関係しているとかなんとかは聞いたんですけれど。」
「霊王様の力の一部とは言い伝えられているよ。だからこそ、ご利益があると言われている。」
「凄そう……。浮竹隊長も詳しいのですね。」
「俺もミミハギ様に命を救われているんだ。」
まさかの信奉者でしたか。
「幼い頃、肺病で寿命が尽きる寸前だった俺を、両親がミミハギ様の御堂まで連れて行って、声が枯れるまで祈りを捧げたんだ。祈りが通じて、俺は今もこうして生きている。完治したわけではないけれど、あの時俺は死んだはずの命を救ってもらったんだ。」
「そう、だったんですか。では最大限のご利益を受けるには、こちらも最大限真心を込めて御奉仕いたしましょう。」
御堂はそう遠くはなかった。道中に、ミミハギ様について教えてもらった。霊王の右腕で『静止』を司るという。
人の手が入り、整っている。
「中に入ることはできないようだな。」
「供物を捧げるための棚などはあちらにあるようですね。」
「借りてきたホウキで清めるか。」
御堂の周辺を掃除する。そして最後にお神酒代わりの酒と米を捧げた。
「浮竹隊長のお命を救ってくださり、ありがとうございました。私もミミハギ様の御加護を僅かばかりでも受けることが出来ましたら幸いです。」
手を合わせて祈りを捧げた。
「随分と信心深いんだな。」
「縋れるものがあるならば、その力を信じたいと思うだけです。」
「……きっと、ミミハギ様にも届いていると思う」
「そう信じます。さぁ参りましょう。」
30地区を過ぎた辺りで四楓院の車を見つけた。
「浮竹隊長様、蓮美様、これより先はこの車にお乗りください。瀞霊廷までお送り致します。」
夜が完全に更けたころ、四楓院家に到着した。
浮竹隊長は薬草を置いて十三番隊の隊舎前で降りていった。
「おおう!長旅ご苦労じゃった!」