第38章 過去編~鍵~
「蓬莱家も自分で取りいけばいいのに。」
「とある効能をもつ薬を開発してくれ、と依頼したのは俺たちなんだ。……だから、四楓院本人が来るべきだったんだがな。」
そういうことなら、なるほど。この2人が薬の材料を取りに行く必要があるのはわかる。
「俺は薬草に詳しいから、ついでに珍しいものを採取しておこうと思ってな。四楓院はその禁域での採取をする予定だった。『野暮用ができたんで、足腰の強い女子を用意しておいた。』と聞いた時は、彼女の側近の砕蜂の事かと思ったが、よもや君だったとは。」
「夜一さんに怒ってもいいですよね?」
「怒っていいと思うぞ。」
「ところで、その薬っていうのは、どんな効能なのですか?夜一さんと浮竹隊長が求めるものですよね」
「簡単な話さ。細胞の修復を早めるものだよ。僕は肺病を患っていてね、内蔵が傷ついてしまうことがある。その修復を早める薬を作れるかもしれない、と蓬莱家から言われたんだ。勿論、依頼したよ。四楓院の方は、新術開発で体を酷使しているらしい。回復を早めるための薬が欲しいとかで……」
「なるほど、それに必要な薬草なんですね。」
「しかし、君は紅葉狩りと聞いていたのだろう。今から戻れば暗くなる頃には一地区まで帰れるはずだ。」
暫く考えた。振り返り、遠くに見える瀞霊廷の壁を見つめる。
「いいえ、ご一緒させてください。」
「いいのかい?」
「はい。その代わりと言ってはなんですが、私の厄落としにも付き合ってください。」