第38章 過去編~鍵~
浮竹隊長に誘われた 紅葉狩り 面倒だからお前が行ってくれ
なに、浮竹隊長の特技は友達作りだ。行動自体は苦にならんはず。
安心して楽しんで参れ!
との夜一さんの言葉通りといえばそうだ。
浮竹隊長は長く隊長職にありながら、威圧感のない柔和な人。
壁がない代わりに気付けば懐に入られていている。
「そういえば、浦原隊長にはこの話はしたのか?」
「最近会えていないので、できていないのです。」
「そうだったのか。彼と君は家族、なのだと聞いた。」
「夜一さんの家に厄介になった間柄なんです。兄妹のように育ちました。」
「恋人であると聞いているが?」
「そうですね。」
「ははは、彼は勤勉で賢い。抜けているところもあるが、隊長職も板についた。いつか尸魂界をあっと驚かす技術を生み出すんだろうな!」
「彼を支えていければと思います。」
などと話していると紅葉の美しい山々を歩き、歩き、歩き、歩き。
「どこまでいかれるのですか?」
「逆骨まで」
と、いうと泊まりコースではないか、と。驚いてしまった。
「四楓院から聞いていなかったか」
「ええ、聞いていませんでした……その、泊まりになりますね?」
「本当に紅葉狩りとしか聞いてなかったのか。すまない。そうだ、泊まりになるのだが……厳しいなら帰ってもらって構わない。」
とはいえ明日も仕事は休みだから最後までお供しても構わない。
「本当の目的はなんですか?」
「薬の材料収集だ。」
「それで、なぜ私が?」
「特殊な薬でね、禁域に生えているという薬草を取りに行く必要がある。そこが逆骨の男子禁制の山の中なんだ。」
「男子禁制?」
「あの辺は治安が悪い。女性は一人で出歩くことも危険なんだ。そこで、女性のみの自治エリアを作った集団がいてね。なんでも、現世では名のある尼僧だったとかで。そう規模は大きくないが、塀の向こうには女性しか入れない。通行料は米や反物。と、言うことで、女性に着いてきてもらう必要があった。」
「浮竹隊長なら、夜一さんでなくてもお誘いできましたよね?」
「四楓院が懇意にしている蓬莱家は知ってるかい?」
「ええ。技術開発局にいらっしゃる月影さん、真央霊術院には天月さんがいらっしゃいますね。蓬莱家のことも知っています。」
「その蓬莱家から薬の材料の調達を頼まれていたそうだよ。」
