第38章 過去編~鍵~
「大事なくて安心ですけれど、また襲われたんですって?」
「えぇ、なんで知ってるの?病気ってことにしていたのに!」
「私の兄が、蓮美先生と山中で会ったと。班長の顔は覚えておいでですか?」
「…あぁ!彼、お兄さんなのね!」
「蓮美先生、心配だよ〜。どうしてそんなに襲われちゃうの?」
「いっそ、死神になっちゃった方がいいのでは?」
復帰後初の授業。女子生徒たちに囲まれてしまった。
「もしかして、先生、ヤクドシ?」
「厄年のこと?神道の考え方を持っている人に会ったの、初めてよ。」
「厄落としという考え方は貴族間にもありますよ。」
「そうなの?」
「あたしの出身地区にね、有名なジンジャ?あるよ!」
「神社が、あるの?」
「ホコラ?ていうのかな?オテラ?とにかく、御堂があるの。」
「御神体はあるのかしら?」
「うん、霊王様だよ」
霊王、この尸魂界を治める者。
「霊王様を神格化しているってこと?」
「ドチャクシン…?とにかく、すごいご利益のあるところだよ!」
「気休めに行かれるのもいいかもしれませんね。」
「七十六地区の【逆骨】にあるよ。」
「少し遠いね。」
そんな話をしながら、休み時間を終えた。
「頼まれごとをしてくれんか。」
「わたし?」
その日の帰り、霊術院前に四楓院家の車が止まっていた。あれよあれよと乗せられて、夜一さんのところまで連れていかれた。
「本来は浮竹隊長からの頼まれごとであったんじゃが……どうしても外せん用事があって。」
「面倒になっただけなのでは?」
「なに、ちょっと紅葉狩りのようなもんじゃ。儂の名代として行ってくれ。」
その頼まれごとの当日。
「ご無沙汰ぶり、なのかな。」
「お久しゅうございます、浮竹隊長様。」
何年か前に一度、お会いしたことがある。懇意にしている京楽隊長の親友でもある人。
「悪いね、四楓院からの名代と聞いた。断りきれなかっただろ?」
「いえ、紅葉狩りだと聞いております。楽しみにしておりました。」
「良いように伝えたな。まぁ、堅苦しいのは無し。よろしく頼む。」