第38章 過去編~鍵~
何気に怖いこと言った喜助さんだったが私と距離を置いた。
刹那
喜助さんの霊力がぐんと上がった。少し息がしづらくなるほどに。
彼は抜刀して、紅姫を起こした。
「卍解 【観音開紅姫改メ】」
「卍解……!?」
喜助さんの背後に彼を護るようにして、赤い衣を纏った大きく、美しい女性が現れた。あれが紅姫なのだろうか。
「卍解、は、初めてみた……。」
「そうでしょうね。卍解ができるのはひと握り。これが習得出来た者は永遠に記録として名前が残されるっス。それに、そうホイホイ見せびらかすものでもありませんから。」
「すごい……。霊圧で押しつぶされそう。これが卍解なのね。」
でもどうして卍解をする必要があるのか。
「紅姫の能力のことは口外しないでください。」
頷くと、突然胸が熱くなった。
「はい。終わりました。」
へ?と答えると、喜助さんが卍解を解いて刀を納めた。
「鬼道使ってみてください。」
「わかりました。」
手始めに雷吼炮を放ってみた。以前のように威力もあり、安定したそれは彼方へと飛んでいく。
「感じはどうっスか?」
「戻ってる……もう少しいい?」
「はい。」
「破道の八十八 飛龍撃賊震天雷砲!」
喜助さんが手を叩く。
「お見事っス!数値も問題ありませんね。」
私は喜助さんの卍解の能力で魂魄が戻ったのだろうか。そう問うと、肯定した。
「詳しいことは言えませんがそういうことです。」
「卍解の能力でこんなことできちゃうなんて確かにオフレコ案件ね。」
「一応、総隊長や一部の人は知っています。ただこの能力は利用されやすい。自分自身も悪心を起こせば悪いように使うでしょう。その為、あまり使わないんスよ。」
「魂魄まで元通りになるなんて……ね。確かにこれは喜助さんが危惧するのもわかる。」
「元通りというのは少し違いますが、まぁそういうことっス。」
喜助さんが私を抱えて井戸へ続く入口へとジャンプした。
そのまま上がっていき、山中へ。
「家まで送ります。」
「喜助さんも今日は休めばいいのに。」
「そうもいってられませんよ。仕事が残ってるんで。」