第38章 過去編~鍵~
それが、戻せないこともない、と言って声をひそめた。
「まぁ、あんまり良くない方法なんで、最終手段ではあります。」
「そうなの?だったら、」
「数日考えてました。成功するかわかりませんけど、成功したとしても、それは我々が越えてはいけない領域を侵すことっス。しかし、それでも僕はその方法を試したい。」
そう言って喜助さんは腰に提げた斬魄刀に触れて俯いた。
「それって、どんな方法ですか?」
そう尋ねると、もし貴方がその方法で魂魄を元に戻したいならば、2時間後に二番隊の地下へと来て欲しいと言った。
確か裏山に隠し扉があったはずだ。そこから入れるだろう。
頷くと、喜助さんはいつもの調子で『暗くなる前に山に入ってくださいよ!』と言い残して走っていった。
言われたように、家の裏の山を数分歩き、斜面が急な山道を歩く。その中に古びた空の井戸がぽつんとある。それが目印だ。蓋を開けるとじめりとした空気が満ちた。
人一人半くらいは入れる井戸に服を汚さぬように入った。これもコツがあり、足場をしっかり霊力で固定しなければそのまま底へと落ちてしまう。
底までちょうど1メートル程のところで、壁にある黒い石の突起を右回転させると、底に階段が現れた。階段は井戸のじめりとした空気はなく、カラッとした風が時おり吹く。しばらくすると梯子階段に変わった。これをひたすら降りていけば無事に二番隊の地下、通称遊び場へと向かうことができる。
しかし、井戸から続いた螺旋階段で既に足が疲れたので、飛び降りてそのまま着地を試みる。
無重力感、落下速度も加速する。
「ひいっ!!」
身体が緊張して足場が作れない。
目の前が明るくなり、遊び場の天井を通り過ぎたのだとわかった。
地面が見えていよいよ落下に備えなくてはいけないのに!霊子を掴めない!
「きゃぁぁあ!」
途端にガクッと身体に衝撃が走り、浮遊感が消えた。
「危ないじゃないスか!」
喜助さんに受け止めてもらって事なきを得た。
「あの落ち方は、滑ったんじゃないっスよね?全く、横着はいけませんよ。」
「すいません。」
「こっちから来ると思って待機して正解でした。」
やっぱり地に足をつけて生きて行かなければならないな、と実感した。