第38章 過去編~鍵~
「……ん〜。」
学校の演習場で私は頭を抱えた。
魂魄が削られたのだから仕方ないといえば仕方ないけれど、上手く鬼道を扱えない。すぐに疲れる。
「フルで授業の日は辛いかも。」
放った赤火砲も大した威力もない。気を抜けば失敗しかねないほど安定もしない。
霊力タンクを大きくするためにも死神同様の修行するか?と思いながら再び鬼道を放つ。
「五十番台の鬼道は手本にならないわね。」
はぁ、とため息をついて椅子に座った。教師だから生徒に鬼道の習得さえさせられたら、私はできなくてもいいが、実際に見せなければ、難しいこともある。何より、死神でもない特例の教師である私に教えられるのに不満のある生徒も少なからずいる。その生徒と信頼関係を築くために難易度の高い鬼道はできなければならない。
「苦戦してるみたいっスね〜。」
その声が喜助さんだとすぐにわかった。
「最高学年の視察ですか?」
「まぁそんなところっス。ポインティは鬼道の練習ッスか。」
「うん。以前のように鬼道が放てなくて。」
「霊力の源であり、タンクでもある魂魄が削られたんっス。一筋縄ではいきませんよ。」
喜助さんが的に指を指した。
「ちょっくら、三十番台の鬼道放ってみてくれませんか?」
「いいよ。君臨者よ 血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ 真理と節制 罪知らぬ夢の壁に僅かに爪を立てよ 破道の三十三【蒼火墜】」
光の閃光が的の横を通り過ぎて、霊力を吸収し衝撃を抑える壁へぶつかった。
「あ〜。詠唱しても駄目か。」
「今の魂魄の状態に慣れたら、ある程度は戻るかもしれません。それか修行をして霊力を増やすか。」
「修行ってどんなの……?」
「それなりにキツイものではありますよ。まぁでも、その状態に慣れてしまえば今までと変わらず鬼道は使えますよ。今の状態でも席官に匹敵するほどの霊力があるんっスから。」
自然と口が尖っていたらしく、喜助さんに指摘された。
「やっぱり、前の状態に戻したいッスか?」
「戻したいよ。そりゃそうよ。」
「っスよね。魂魄が削られたってことは、寿命が縮んだことを意味する。僕はその意味でも、貴女の魂魄を元の質に戻したい。」
「でも、私の魂魄の一部はもうどっかいっちゃったよ。」