第38章 過去編~鍵~
夜一さんは腕を組んで言った。
「喜助が鬼道を教えなければ、既にもう命はなかったかもしれん。選択は間違ってない。」
そう言って歩き始めた。
「だといいんすけど。」
「そういえば、喜助。今回は新しい発明品の開発、早かったな。」
「どれのことっすか?」
「喜助のことじゃ、ポインティの魂魄を戻すためになにか作ったのじゃろ?」
「ええ、まぁ……でもこんな結果じゃ失敗作ッスよ。」
自分が生み出してしまったものを隠すために既に開発していたとは誰にも言えない。
―崩玉を隠すのに適するのは魂魄深部。故に魂魄へのアプローチに関する研究を探した。魂魄の深部への研究はされていなかったため、先行論文をもとに独学していた。
それがこのような形で役に立つとは。
あんなもの、生み出してはならなかった。必ず消さなければならない。
「八番隊の、うちで拘留している奴のことだが、やはりあいつはなんも喋るつもりはない。何故魂魄を欲しがったのかはわからずじまいになりそうじゃ。」
それにしても、魂魄を削り奪うというあの方法も以前読んだ論文の原理と同じものだ。論文を読んだ人を調べていけば、何かがわかるかもしれない。
僕は貴女に言えないことをしてしまうかもしれません。
崩玉をどうにかするためには魂魄の深部に埋めるしかない。誰かにそれを押し付けることになる。
それでも、崩玉は絶対に滅ぼさなければならない。
例え、愛する人に嫌われることになってしまっても。