第38章 過去編~鍵~
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「なんややらかしました?」
「わからないのかい?」
副隊長室に呼び出された。
モニターの明かりだけの暗い部屋に立つ人影が、瓶を翳す。
瓶の中で耀く物体
「やり方は教えたはずだが?」
「この指輪に力をこめる。そして、指輪の先から伸びた霊力でできたこの腕を対象の心臓に向けて差し込み、魂魄を掴んで引き抜く。その動作を素早く行えば、上手いよう気を失うようになる。合ってますやろ?」
「では、僕の命令は覚えてるかな?」
「蓮美ポインティの魂魄の凡そ8割を奪うこと。」
「この瓶にあるのは蓮美ポインティの魂魄だ。この魂魄は全体のいくらかわかるか?」
「はて、わかりませんな。僕は8割を奪ってきたはずですが?」
「吐くならば賢い嘘をつきなさい。」
彼を見つめる。
「この中にあるのは全体の2割の魂魄だ。」
「あれま、失敗してしまったみたいですねぇ。でも、……知ってはりますか?彼女の簪。あれ、浦原喜助があげたもんなんですよ。」
「言い訳か。聞いてあげよう。」
「あれには彼女の霊力が大幅に減った時、浦原喜助に伝わるようにできてるんですよ。」
「ほう。」
「あの状態で、ボクが8割の魂魄削ったら、疑われるの決まってるやないですか。ボクらへの目を逸らすために、あの八番隊長さんの部下を差し出したんちゃいますの?」
男は瓶の蓋を開けた。
そして、厳重な結界を張られた金庫に手を伸ばし、その中から禍々しい色をした小指サイズ程の玉を取り出した。
瓶から出た魂魄は玉に吸収される。
すると、その玉から発する霊力がぐんと上がった。
「やはり、彼女の霊力は特別だ。たった2割の魂魄といえど、その質が異なる。……君が8割の魂魄を奪ってきていたら、きっと完成しただろうに。」
そう言って玉を向けた。
「普段は一人の魂魄から3割程度を削り取っている。……が、今までこんな反応をしたことはない。想像以上だ。」
押し潰されそうな圧の塊は、大勢の人の魂魄から出来ている。
―この中に乱菊の魂魄も。
「さて、君の失敗は今回は咎めないことにしよう。もう一つの作戦は上手くいき、疑いの目がこちらに向くことはなくなったからね。」
「でもうちの隊長には用心せんとあきませんね。」
「何事も油断は禁物さ。」