第38章 過去編~鍵~
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この部屋を暖かくするように伝えて外に出たらしい。
外は随分と暑いはずなのに、女将さんは火鉢を取り出してくれて、熱燗を飲ませてくれた。布団に潜って暖を取ると、震えはおさまった。
瓶はじんわりと温かいため心臓の辺りでぎゅっと抱きかかえる。
三日程、宿でお世話になった。まだ暫く帰れないだろうと思ったが、四楓院家の使者がやって来てお代を出し、布団を詰めた籠に乗せられて、一日かけて戻ってきた。
通されたのは十二番隊。隊舎前には夜一さんが立っていた。
「ほんとに氷のようじゃな。」
籠から出たが外気が寒く、震えあがった。
「喜助が研究室にこもっておる。すぐに魂魄はもどるぞ。」
「はい。」
「それと、聞き耳は感心せんな。」
木陰から人影が現れる。
「あらら、バレちゃったか。」
その声は京楽隊長だった。
「身体はあまり良くなさそうだね?」
「京楽隊長、何しに参った。」
「実は、君を襲った彼、僕んとこの隊員なんだ。」
「そうだったんですか。」
「真央霊術院卒業以来ずっと僕のとこでね。結構長い付き合いだったが……なぜ魂魄を奪うことをしたのか分からない。真面目な人だったんだ。この件は彼の変化に気付けなかった、上官のミスだ。済まなかった。」
そう言って笠を取って頭を下げた。
「頭を上げてください。京楽隊長も、部下がこんなことになって、大変なはずです……だからどうか、」
「彼奴はこういう者じゃ。頭下げ損だぞ。」
「ははは、そうみたいだね。」
「申し訳ないと思っているなら、美味しいお酒を飲ませてください。」
「君からの誘いなら喜んで。」
京楽隊長が背を向け去っていった。
「番犬にもこれから謝罪に行くよ。」
番犬……喜助さんのことか。
「お主も変わった奴よ。」
そう言って、私の肩を叩いた。
「寒かろう、中に入れ。」
夜一さんから魂魄消失事件の犯人について知らされた。
何も話さず、動機も余罪もわからないのだと。
「お主への襲撃については罪になるが、証拠も何も無い以上はそれだけだ。元よりいつからどの頻度で事件があったのか分かっていない。上としても、死神の品格を落とすような事実は出したくないようだしの。」