第38章 過去編~鍵~
--------------
寒い、寒い、眠たい。
身体を丸める。
淡い光の結界は雨は通さない。
しかし、地面から染み出る水が身体の体温を奪う。
「凄いな……倒山晶の形態変化……四角柱にしちゃうなんて。」
元々は逆四角錐の結界のものを、私が寝ころんでいるのに気を遣い、四角形にした。
喜助さんの匂いがする隊長羽織が汚れないように抱え込む。
「寒い……」
歯がカチカチと鳴る。
身体の中に氷を詰められたような寒さは長く耐えられそうにない。早く戻ってきてほしい。
『もうあと少しで着きます!だから、それまでは耐えてください!』
喜助さんの天挺空羅か。霊圧の揺れに気付かなかった。
「……眠たい……」
意識が飛んだ。
「……!!……ポインティ!!」
身体を揺らされて目を開けた。
「ポインティ!」
「おかえり……」
喜助さんは私の身体を包むように抱きしめた。
「こんなに冷たくなって……」
私を抱いて木の下に座らせた。
「あの人は?」
「捕縛しました。」
「よかった……」
喜助さんが懐から瓶を取り出した。
「貴方の魂魄、どうやって戻せばいいかわかりません。帰って、戻す方法を考えます。」
瓶はあったかい。
「あったかい、」
瓶を胸に当てる。
少し、熱が身体に伝わってきた。
「……こうしててもいい?」
「貴方の魂魄ですから。」
そうしていると、雨がやんでいった。
「村の方に戻りましょう 。」
「……はい。」
私は喜助さんにおんぶされて、宿屋まで移動した。リカちゃんの恩人だと言って快く女将さんが迎えてくださった。
「濡れた手ぬぐいと桶です。」
「すんません、ありがとうございます。」
喜助さんは私の顔や髪、手や足に付いた泥を丁寧に拭いた。
「浴衣はこんなのでよろしかったですか?」
「そこに置いといてください。あと、寒いようなので、防寒できるものあれば欲しいです。」
「それなら、もう奥にしまってしもうたなぁ。でも、リカちゃんの命の恩人様やし、ちょっと出してきます。」
女将さんがその場を離れた。