第38章 過去編~鍵~
「縛道の六十二【百歩欄干】」
男は地面に大の字で拘束された。
「所属は死体からでも身バレするでしょうから、動機を聞いておきましょうか。それと、命乞いするならばしてください。」
「……。」
「だんまりッスか。」
男が腰に巻いていたものを取り出し、中のものを取り出した。
瓶に入った光るもの、ポインティの魂魄。
「魂魄って、どうしたら戻せるんッスかねぇ。まぁやるだけやりますが。……さて、本当に命乞いしなくていいんッスか?」
斬魄刀を首に当てても、男はやけに静かで、抵抗しようとしない。
「……平子さんッスか。」
地獄蝶から平子さんの声がしたが、刀を振りかざした。
『おい!喜助ェ!夜一さんもひよ里も忙しいから、傍にいた俺が伝言伝えるわ。』
刀をそのまま固定した。
『お前の声の調子からして、冷静さを失ってるやろ。ポインティの魂魄削ったその犯人を殺しかねん勢いやったそうやないか。半殺しで止めとけよ!殺したらややこしなんのお前や!ポインティの気持ちも考えろ!』
以降、平子サンの声は聞こえなかった
「……ポインティの気持ちッスか。縛道の七十九【九曜縛】」
男はなんの抵抗もしない。
「これで完全に身体の自由は奪いました。舌を噛み切ることもできませんよね。」
ゴロゴロと雷が鳴り、風が吹く。
「貴方のことは二番隊に任せます。」
男の額を弾き、痺れ指で体を麻痺させた。
「縛道の七十三【倒山晶】……貴方の仲間がいないとも限らない。二番隊が到着するまでここにはいられませんので。結界を張らせていただきます。」
そう言って踵を返した。
「……以上が詳しい場所ッス、倒山晶を張ってるので、それを壊すように言ってください。自分は場を離れます。」
地面は泥濘、水たまりが出来ている。
倒山晶では雨は防げても、気温は外と同じように下がるし、地面もぬかるんでくるだろう。
身体のあの異様な冷え方は、魂魄を失ったからだろうか。
とにかく、早く行ってやらないと。
彼女の霊力が安定していない。
こんなところで彼女を失うわけに行かない。