第38章 過去編~鍵~
「うちの人がお世話になりました。」
喜助さんが私の肩を寄せた。
「う、うちの人……!??!」
顔が赤くなっていく。
「あ、あぁ!やっぱり……!あー、いえいえ、奥様にはお世話になりました。このご恩は必ず!」
「チエ子さん!……いや、あの、まだ奥様……て訳では……!」
「じゃあ失礼します。」
喜助さんが歩いていくので私もついていくしかない。
チエ子さんはにこやかに私たちを見送った。
「もう!喜助さん!来るんだったら言ってください!伝える方法あったでしょ?」
「あはは〜すんません。ポインティさんに案内して欲しいとこがあるんッス。」
「どこに?」
「彼女をみつけた場所に連れていってください。」
「わかった。」
道中、喜助さんがリカちゃんの魂魄について説明した。
「報告通り、魂魄が削られていました。この機械で翳すと魂魄を数値化できるんですよ。」
画面を覗くが、数字が何を意味するかわからない。
「虚の仕業?」
「いえ、虚ならば姿をみたり、足音を聞いたりするでしょう。」
「じゃあ一体?」
喜助さんは歩みを止めた。
「死神」
一際低い声でそう言った。
それはどこか憂いを帯びているような、悲しそうな、怒りもこもっているような。
「ま、まさか……」
「確定ではないっす。その可能性が高い。」
「何のために?」
「魂魄は何にでも使えます。目的はわかりません。」
「死神がそんなこと……。」
「何年か前から起きていたそうですから、本格的に動くよう総隊長に報告します。これ以上の被害が出ないように。」
「うん、その方がいい。でも、仲間を疑わなければならないのは辛いね。」
「護廷隊の信頼と品格を損なう者は死神失格ッス。非人道的なこと、見過ごせません。」
さすが、元二番隊。言葉の重みが違う。
「……この広場だよ。」
彼は何か作業をしている様子で、私は木陰に座っていた。
「このまま池の方まで行ってきます。貴女はどうしますか?」
「歩き疲れたからここで待つよ。」
「30分で戻ります。」
彼を見送った後、昨日の疲れが残っていたのもあり、うとうとしてしまった。