第38章 過去編~鍵~
「もう出るのですか。」
「はい、明日から仕事なので。」
「お姉さん……」
リカちゃんが部屋の奥から出てきた。
「ありがとうございました。」
「山に行く時は、あまり遠くに行かないようにね。」
「あたし、死神になりたい。死神になって、母さんを瀞霊廷に住まわせたい。」
リカちゃんは真っ直ぐな瞳でそういった。
「真央霊術院で待ってる。」
「そんときは是非十二番隊志望してくださいっス〜!!」
聞き覚えありすぎる声に後ろを振り返った。
「き、喜助さん!!」
「あはは〜どーも。」
「死神……の方?」
「こう見えて、十二番隊長ですよ。」
チエ子さんは驚いた様子で、頭を下げた。
「八番隊隊士から聞きました、そこの娘さんのこと。少しお話を伺おうと思いまして。」
「隊長がわざわざ……!! すいません、お茶をお出しします。」
「あ、いいえお構いなく。」
リカちゃんを玄関に座らせる。
「こういうことって部下がするんじゃない?」
「うち、今忙しいんっすよ。僕しか手が空いてなくて。」
「隊長でしょ?」
『あぁ?んなもん部下に行かせたらエエやんか!……ポインティがそこにいるって??あーもう!あいつのことになったらほんまお前は何を言っても無駄や!!さっさと行って、二度と戻ってくんな!ポインティとハネムーンにでも行け!!!!』
ひよ里とそんなやり取りがあったのだろう。
「浦原隊長、公私混同はよくありませんよ?」
「あはは……」
「否定して。」
彼はリカちゃんの前に座った。
「えーっと、貴方が倒れた時のことを詳しく教えてくださいませんか?」
「……覚えてない。追われてるような気配がして、急に力が抜けて、頭が真っ白になりました。」
「その時、何か見ませんでした?人影とか。」
静かに首を振る。
「足音とかは?」
「……ごめんなさい」
「大丈夫です。」
喜助さんは持っていた袋から小さな機械を取り出した。
「ちょっとだけ、失礼します。」
その機械を彼女に翳す。
ピピという音が鳴り、画面に表示されものを読んでニコッと笑った。
「ご協力ありがとうございます。霊力はそのうち戻るでしょう。今は安静に。」