第38章 過去編~鍵~
死神たちは去っていった。
「大丈夫。もうすぐ側に居るはずです。声をかけながら探しましょう。」
そう言って横並びになって声をかけながら歩いた。
山林を歩くことを目的にしていたので袴を着て来たのが助かった。草をかき分けて、ぐんぐん進む。
「……もう一度やってみるか。縛道の七十七【天挺空羅】」
詠唱破棄で規模の小さいものになったが、もう近くにいるのはわかっている、問題ない。
「もう少し西か!リカちゃん、もう近くに来たよ!安心して!」
体系を組み直し、再び進んでいった。
「リカちゃん!リカちゃんだ!!みんな!!リカちゃんだ!!」
向こうで声がして、私もそちらに向かった。
横たわる茶髪の12、3くらいの少女。
「もう大丈夫だ、母さんとこに帰ろうな。」
私はリカちゃんの傍に腰を下ろした。
「リカちゃん、この姉ちゃんが探してくれたんだ。」
所々小さな傷はあるが、外傷はない。
空腹で倒れていたのか。
彼女からは僅かな霊力を感じる。
この程度の霊力ならばあそこまで衣類に霊子が残るはずがない。
霊力が大量に無くなったのか?
「リカちゃん、こんなものしかないけれど干柿。これで空腹は少しマシになるかな。」
リカちゃんはゆっくりと口に干柿を含み、食べ始めた。
「リカちゃん、霊力があるんだよね。」
小さく頷く。
「リカちゃんは、霊力が高いんだ。うちの息子も霊力があって、何度か真央霊術院を受験した。もう諦めてうちを継いでるが…うちの息子に言わせれば、真央霊術院の生徒に匹敵するほどの霊力を持っているそうだ。」
そうは思えない。やはり霊力を奪われたのか。
「何があったのか教えてくれる?」
「……誰かに追われて……急に目の前が真っ暗に……そしたら力が出なくて……」
「虚に追われたの?」
「わからない」
「誰かに襲われたってのかい?!」
「だれだ!どんな奴だ!」
「分からない……」
山林に入っていった藍染副隊長。
魂魄消失……
もしかしたら、藍染副隊長は何か知っていたのでは?
「さっきの死神にこの事話してもいいですか?もしかしたら関わりがあるかもしれません。」
天挺空羅でさっきの死神たちにも伝えた。
食べるものと一緒に1人をこちらに寄越すから待っていてくれ、と。