第38章 過去編~鍵~
「リカちゃんがよく使っていたもの、ありますか。服や小さな物でも。出来ればたくさん持ってきてください。」
チエ子さんはバタバタと動き始めた。
リカちゃんの霊力の高さにもよる。
虚や死神ほどの霊力があれば、数日は霊子が残ることがある。
リカちゃんが行方不明になってから丸一日、僅かでも霊力があるならば残っている確率は高い。
この家にも強く残っている霊子を感じ取る。
「すいません、これだけ人集りがあると、霊子が混ざって分析に時間がかかってしまうんです。」
そう言うと、男の人たちが人払いを始めた。
チエ子さんは薄い布団や、元はそこそこの良い品であっただろう着物や肌着、手作りの巾着袋を持ってきた。
「これで、これで、どうですか!」
それらに触れて、霊子を探った。
こういった訓練はしてきていないため、上手くいかない。
よく知っている、何度も会っている人ならばわかるのに……
額に汗が浮いてくる。
雑念を振り払い、霊子を感じる。
僅かに感じる霊子……構成が同じ霊子を繋げていく。
そして同じ霊子を他のものでも探す。
最後にこの家の中で探す。
「……すいません。」
懐から手ぬぐいを出して鼻を抑えた。
赤い液体で染まっていく。
「姉ちゃん、あんま無理しちゃいけん。」
「もう気持ちだけで充分や。」
私は首を振った。
「大丈夫です、もうリカちゃんの霊力は分かりました。後は探すだけです。」
「探すって……でもそれも大変なんじゃろ?」
「まぁ簡単ではありません。」
「おい!姉ちゃんに茶を出せ!」などと言った声が聞こえる。
「すいません、井戸の水を借りても?」
「どうぞ……」
私は井戸の水で化粧が落ちるのもお構い無しで顔をジャバジャバ洗った。
その場で静かに目を瞑った。
霊力がある状態ならすぐに見つかる。
……
「え?」
感じたのは4つほどの大きな霊圧。―死神だ。
山林の中を走り、第五地区の辺りに来ている。
「姉ちゃん?おお、どうした、なんか分かったか?」
「死神が山林に来ています。」
「死神が?!」
「よく来るのですか。」
「いいや……」
「まさかなにか事件や事故に巻き込まれたんじゃないか?!」