第38章 過去編~鍵~
そう言うと、女性が私に掴みかかってきた。
「あの!!女の子を!!!女の子を見ませんでしたか!!背はちょうどこのくらいで、栗毛色のおかっぱ頭の!!」
必死の形相だった。
「私の娘なんです!!!」
掴まれている肩が痛い。
「……ごめんなさい、見てないんです。」
そう言うと泣き崩れた。
「奥さん、もう少しだけ捜索するからさ。」
「チエ子さん、冷えますから家でリカちゃんの事待ちましょう。」
チエ子と呼ばれた女性は他の女性に抱えられるようにして歩いていった。
「それで、お前さんはどうしてここに?……あぁ、ここに来るってことは酒か?」
「もうこんな時間だったら店は開いてないだろう。宿屋はあっちだ。まぁ女の子が一人行方不明だから……早めに宿屋行くことを勧めるよ」
「あの!」
離れていく男性達の背中に声をかけた。
「私も探します!」
チエ子さんのあの表情が忘れられない。
チエ子さんが生きていた時の本当の家族かもしれない。
ここへ来て育んだ命かもしれない。
もしくは、采配によってたまたま"娘"になったのかもしれない。
どちらにせよ、娘の行方不明を嘆く母を同じ女として見捨てておけない。
「いや、でも……」
「暗いし危ないから女は連れていけない。」
「気持ちだけ受け取っとくよ。」
男性達はまた背を向けた。
「……霊力を感知することが出来ます。」
そう言うと、振り返って私を見た。
チエ子さんは、リカちゃんに充分な食事を与えられなかったと言っていた。
つまり、リカちゃんには霊力があるのだろう。
「ほ、本当か。」
「はい。」
男達は『どうすればいい。』と聞いてきた。
「まずはリカちゃんの家に連れて行ってください。リカちゃんの霊力が判れば、感知できると思います。」
そう言うと、人集りがある1軒の小さな家に案内された。
「チエ子さん!良かったな!この女性、霊力がわかるんだってよ!リカちゃんの霊力をさがすって!」
「ほ、本当ですか?」
チエ子さんは私に顔を向けた。
「あの子は……私の大切な娘なんです!!お願いします!!」