第37章 過去編~交差~
いつの間にか喜助さんに抱きしめられていた。
「僕の一番近くにいて欲しい。」
私は喜助さんのことがずっと好きだったんだ
幼馴染みであり兄であり、恋人
唯一無二の特別な存在
心が熱くなって頬が綻んだ
「なんて顔してんっスか」
「幸せだなぁって」
喜助さんが私を特別な存在にしてくれたこと、お互い同じ想いだったこと
こうして、腕の中、一番近い所でいられること
全てが嬉しい
幸せだ
私の言葉のあと、喜助さんが視線をズラした
「あぁもう、卑怯ッスよ…それは…」
「喜助さん?」
なかなか目をあわせてくれない喜助さん
「ほら、晩御飯の準備しよ?」
喜助さんの手を引いた。
ずっと一緒に暮らしていたわけだから恋人になったからと言って生活に変わりは無いけれど
やはり気持ちの面では全く異なった。
彼のことを愛し、愛おしく思う
女の人と話していたら気になってしまう
もっと一緒にいたいと思ってしまう
早く会いたい、そばにいたい、
喜助さんの言葉ひとつひとつが嬉しい。
私の世界が鮮やかになっていった。