第37章 過去編~交差~
平子隊長が私の横に座る
「…なぁ、ポインティ」
えらく真剣な声だ。
「は、はい」
「喜助とは何もないんやろ?」
「……はい…」
その瞬間、視界がぐらっと動いた。
平子隊長は私の上にいて、押し倒された状態だ。
「ほんなら俺の女にならへんか」
熱っぽい瞳を見せ、私の毛先をクルクルと触る。
彼はよく女性を口説く。そこに嘘はない。きっと私に対しても好意を寄せてくれている。
でも、本気で言ってるわけじゃない。
そういうと語弊があるかもしれないが、心の底から私と付き合いたいとは思ってないと思う。この人のことだからあわよくばとは思っているかもしれないが。
あわよくば……か。
嫌悪感は全くない。このまま一線を越えてしまっても、平子隊長だったら構わない、と思っている。
そこまでの心持ちではあるが、平子隊長が仮に本気だとしても、私には『付き合う』という選択肢は無かった。
「平子隊長、飲み過ぎですよ?」
そう言うと、平子隊長は起き上がった。
「あ~ぁ冗談なんやからそんな冷静に返さんでええやん?」
と元の席に戻る。
「冗談が過ぎますよ~」
「すまんすまん、まっ、飲み直そや」
そうして暫く飲んだあと、私は家まで送ってもらった。
「今日はありがとうございました。」
「こっちこそ、付きおうてくれてありがとうな。」
「また飲みに行きましょうね。」
「ポインティからのデートのお誘いやったらいつでも受けるからな。」
「ここまで送ってくださってありがとうございました。」
「いやいや、そこの門からすぐやん。四楓院の敷地になるんやろ?えぇとこ住んで。」
「是非遊びに来てくださいね。」
「おおうよ、ほな、行くわ。」
私は頭を下げ、平子隊長を見送った。