第33章 過去編~青葉~
現世での研修の話で二人が盛り上がっている。
現世での研修は、真央霊術院の中でもとりわけ危険なもので命を落とす者もいると聞く。
今日の会は、無事に研修を終えたことへの祝いの席だったらしい。
「お主も成績優秀だと聞く。この分では、下級生の研修にも監督生として同行することになるかもしれんな。」
「そういうのは勘弁ッスけどね。僕は夜一サンのように面倒見がいい方では無いので。」
「機会があれば行くと良い。いつか部下ができた時に役に立つかもしれぬ。」
私は現世と聞いて聞きたいことがあった。
「現世の話、聞かせて?」
「どんな話がいいッスか」
「街並みは?変わりあるのかな?」
「そうッスね、城下は瀞霊廷、他は流魂街、そう変わりありませんね。」
「なーんだ、じゃあ私がいた頃とそう変わりないのかぁ。服装は?」
「それもここと変わらずッスね。」
「空に浮かぶ船とか遠距離でも声が届く装置とかが作られると思ってたのに。」
「その点で言うとまだ尸魂界のほうが技術の発展はしていそうッスね。」
「最近こっちに来た人の話を聞いていたら、所々私の知らないものがあったり、制度があったり、価値観が変わったりしているように感じられたけど、あまり変化ないのか。」
「現世にいた頃の話は、随分と昔に聞いたっきりじゃが、まだ覚えておることもあるんじゃな。」
「もうほとんど覚えてないですよ。思い出そうと思えば……うん、印象に残ってることはなんとなく覚えています。ちゃんと成仏して未練もないので、忘れちゃったらそれでいいかーって感じですけどね。きっと父も母もこっちに流れ着いていそうですけど、探しに行きたいとは思いませんし。あーでも、ちょっと不思議な人と会ったことがあって、その人のことは気になるかな。」
「どんな人ッスか?」
「ん〜?」
頭をぐりぐりと抑える
「黄色と黒色で目つきが悪くて口が大きくて…今にも四足歩行で歩きそうな…」
夜一さんが閃いたようにして部屋を出た。暫くしてもってきたのは絵だった。
「これではないか?黄色に黒の文様、四足歩行で目つきが悪い!この牙も!!」
「これは……虎ッスね?」
「虎……だったのか、私が文通してたの」
「いやいや文通できないッスよ」
「いや待て、『人虎伝』という現世の書物を読んだことがある。そこに人語を操る虎が出てきていたぞ」
