第33章 過去編~青葉~
「すんません、お待たせしました……」
恐る恐る覗くように顔を見せたのはー喜助兄だった。
「遅いぞ、喜助。どこで油売っていたのじゃ。」
「先日の現世での研修のフィードバックが熱くなっちゃって。」
「現世に行ったの!?」
「はい。実際に虚と戦ってきました。」
私は感嘆の声を上げた。
「じゃあもう、喜助さんは虚を倒せるのね!」
「慢心するわけにはいかないので。修行を積んで行くッスよ。」
「なんじゃお主ら、久しぶりに会って特に感動の再会というわけではないじゃないか。」
「驚いてますよ。ポインティが来ていること知らなかったッスから。」
「サプライズという奴じゃ。ポインティが寂しかろうと思って。」
喜助さんはどこか活き活きとしていた。目に輝きがあって、表情も豊かで、声もどこか明るい。
月夜の晩、死神になりたくないと言ったあの瞳はどこにも無かった。
それにどこか安心した。真央霊術院での生活が苦痛だったら?あのとき言っていたように死神になりたくない気持ちがまだあったら?
夜一さんへの恩の為に無理をしているのでは、と思うこともあったが、それは杞憂だったらしい。
頭が良いのは知っていたが、体も逞しくなった。幼い私をおぶってくれた細く華奢な背中では無い。人を守るために鍛え、戦う者としての大きな背中だ。
彼の学校での生活を聞いていると、真央霊術院に入学して良かった、と心の底から思えた。
「どうしたッスか?」
「楽しそうでよかった、と思って!」
「ポインティは変わりないッスか?」
「独学だけど、勉強とかしてるよ。商店街の方にも友達ができてね、よくお話してる。夜一さんもよく来てくれるし!不自由なく生活してるから!」
「ポインティが元気そうで安心しました。」
「言うたであろう、ポインティのことは心配するな、と。この儂が後見人じゃぞ?」
「尸魂界で一番頼りになる後見人ッス。」
場所を移して、食事が運ばれてきた。流石は貴族様。一品一品の豪華さが異なる。