第32章 過去編 ~序~
「オマエ、霊力、タカイ……ウマソウ……」
呆然と立ち尽くしていた。
「……いや、来ないで…」
私は目を瞑った
すると私の体から霊力が出て、それが虚の仮面に当たった。虚が動かなくなった隙に雨でぬかるんだ土を踏みしめて山を降りた。
少し遠くに、白い壁が見えてその先に民家が見える。私が居たところよりも立派なものにみえた。
気が抜けてしまい、空腹と疲労感と睡魔で動けなくなり、道沿いにあったお地蔵さんの横に腰をかけた。
なんでこんなに辛い思いしなきゃいけないの。これからのこと、考えても、歩く力も出ない、帰る場所もない、たまに人が通りかかるも私のことは見て見ぬフリで助けてくれない、だったらいっそもうこのまま死んでしまいたい
また向こうから人が来る。
「立てるッスか?」
私よりも歳上に見える小綺麗な男の子がいた。
「こんな所にいたら風邪引きますよ。僕の家もうすぐそこなんで、寄っていきませんか。」
差し伸べられた手をとると、彼は汚れも気にせず、私をおぶり、傘を首に挟んで、歩き出した。
「ここっス。」
風雨が凌げることは間違いない、瓦屋根の屋敷だ。
「今、お湯の準備しますから。手拭いと、えーと着替えが……とりあえずこれ着てください、それから温かいお茶入れて、と。あとは、お腹すいてますよね?」
「食べ物、あるの……!」
「やっと声出してくれましたね!」
とニコッと笑われた
「霊力あるんでしょう?……僕も貴女と同じッス。」
体を綺麗にした後、ダボッとした浴衣を貸してもらった。
「おにぎりしか作れませんでした。どうぞ。」
梅干しの入ったおむすびだ。
「美味しい……」
「良かったッス。ゆっくりしてください。ここには僕しかいないんで。」
「こんな大きなお家なのに?家族は?」
「ここでの家族はいないんっスよ。ま、お世話になってる人はいるんですけど……」
と言ってると、
「なんじゃ喜助!!儂が父上の虚討伐の手伝いをしておる時に、隠れ家に女子を連れ込んで!!」
いつの間にか家に入ってきた男の子と同い年くらいの女の子だ。
「違うんッスよ~そこで倒れてたんで連れてきたんッス。」
「なんじゃ、お主も霊力をもっておるのか!」
「は、はい……?」
「儂は四楓院夜一。ここの大家だ。」
「間違いではないっスけど。あぁ、自己紹介まだでした、僕は」
