第24章 月下の檻
すぐそこにいるのに、帰るなんてことできない。
でも私が藍染についたら尸魂界はどうなる?
一番隊の皆に、護廷十三隊のみんなにも迷惑かける。
浦原さん、どんな顔するかな……
「友を想う涙、己の無力を感じる涙……美しいよ」
もういっそ
選択肢なんて寄越さないで欲しかった。
「問わせてもらおう。君はこうなることを少なからず予想できたはずだ。何故ウルキオラと共に来た?流魂街や現世の人間が人質になったからか?…それもあるだろう。しかし、君の力があれば争うことは出来たはずだ。君がここに来た理由は一重に、井上織姫を想ってのことだろう。井上織姫にとりわけ特別な情があるかは知らないが君はそういう性分だ」
藍染は近づいてきた
「孤独な者に寄り添いたい、苦しんでる者に手を差し伸べたい。」
「そんな…立派じゃない……」
「しかし実際に井上織姫のことを想って己の欲と葛藤している。このすぐに潰れてしまいそうな胸で。悪いが君の事は君が生まれる前から知っている。君のことは君よりも知っているんだ。」
鼓動が早くなる。
藍染の言葉ひとつひとつが染みていく。
丸出しの神経に矢が貫通していくような痛さがある。
「…………」
扉を隔てた向こう側に織姫さんはいる。
織姫さんを置いて現世に帰れない。
堪えていた涙が溢れてしまった。
「…ようこそ、虚夜宮へ」