第21章 藍染の思惑と記憶のノイズ
やっと声が聞き取れるくらいの距離だ。
「浦原さん…あのお話って、何ですか?」
「先ほど、ポインティサンから話は聞きました。」
「はい…」
浦原さんは織姫さんと顔を合わせずに、背中を向けている
「御存知っスよね?“王鍵”の話っス。今頃は斑目サン達にも伝わってる頃でしょう。急な話で流石に少し予想外でしたが…兎にも角にもこれでアタシ達も尸魂界も冬に向けて戦いの準備をしていくことになりました。総力戦だ……恐らく今まで以上の血が流れるでしょう…そして、アタシ達も尸魂界も今迄以上の戦力が必要になる」
「……はい、あたしも強くなりたいです!」
こちらでもはっきりと聞こえるくらいの真っ直ぐ迷いのない声
「…そうっスね。それじゃ申し上げましょ 井上サン…貴女には今回 戦線から外れて貰います」
「……え…」
恋次とチャドさんは動きを止めた
私も思わず立ち上がる
「椿鬼…先日の破面との戦いで破壊されてから修復できてないっスよね?」
ヤミーに壊されてから直ってないようだった。
ヘアピンの一部が破損している。
「はい…欠片が見つからないぐらい粉々にされちゃって…どうやって治したらいいのかもわかんなくて…」
「椿鬼は貴女の唯一の戦闘手段だ。それを失くしちゃ戦闘への参加は認められない…当然のことっス」
「…ま…待ってくれ浦原さん!!井上はオレたちの仲間だ。尸魂界でも必死に戦ってくれた!本人が強くなりたいと言ってるのにそんな簡単に置いてくことはできない!」
「茶渡くん…」
「感情論じゃないスか。キミは井上サンを死なせたいんスか?」
「違う!井上には戦闘よりも重要な防御と回復の能力が有る!」
浦原さんは、ため息をついた
「三天結盾の防御力はたかが知れてる…今回の戦いでは役に立たないでしょう。回復にしたって四番隊がいます。今回は恐らく卯ノ花隊長や虎徹副隊長クラスが前線に出てくるでしょうし井上サンの抜けた穴を倍ほども補って有り余る」
「しかし!」
「しつこいな」
背中の凍る様な浦原さんの低い声
「力をなくした戦士なんて足手纏いだと言ってるんスよ」
「浦原さん!!」
「いいの!」
怒鳴ったチャドの言葉を遮るように今まで黙っていた織姫が口を開く
「井上…?」