第20章 破面との対峙
「明日早いのやだなぁ。」
「そう思うなら早く寝てください。私たちは朝一番に帰還するんです。リン副隊長を起こすの大変なんですから。」
「リン、起きてるのに起きないからねぇ。」
報告書を書き終え、女3人で布団を並べる。
「隊長、傷は治されたのですか?」
「外はね。中はこれ以上どうにもなんないわ。まぁ治る治る。」
「はぁ?!ちゃんと治療してください!明日一緒に帰って見てもらいます?」
「大丈夫大丈夫」
「隊長ってそういうとこありますよね。私達で言って聞かないなら考えがあります。兎に角、もう寝ましょう。」
翌朝
二人は既に起きていたらしく、部屋には私一人だった。顔を洗うために扉を開けた瞬間、ゲン太に組み付かれた。
「いったー!!!ぐっ」
その拍子に傷んだ内蔵がズキズキと痛み出し、蹲った。
「おはようございます〜良い目覚めっスね〜」
扇子をパタパタとしながら浦原さんが近付いてきた。
「レディの寝起きはジロジロと見ないものですよ!」
「それは失敬〜。ゲン太、もういいっスよ。」
解放された私は数回噎せた。掌に僅かに赤い液体が付着していた。それを隠そうとぎゅっと拳を握ったが時すでに遅し。
「痛み止めと止血は施しただけでは回復しませんよ。」
「バレてました?」
「涼風サンが教えてくれました。」
「昨晩のはこれか……」
「彼女が言わなくたって、気付きますけどね。」
そう言って浦原さんは息を吐いた。
「何故、治療を後回しに?」
痛み止めと止血はできるし、周りに心配させたくない。治療には誰かの手を借りる。故に少し気が引けるのだ。
それに、昨日は他に怪我人が複数いて、動ける私は落ち着いてからで構わないと思った。
「他人の手を煩わせたくないのですか?他人を優先したつもりっスか。」
何故わかった!と目で訴える。
「貴女のそれは、死に急いでるだけだ。」
「そんなこと、」
否定しようと口を開いた。しかし、彼の目を、それは心配といった情が近しいだろう。温かくも寂しい瞳を見て口を噤んだ。
「貴女が居なくなって、悲しい思いをする人は大勢います。貴女だけの命だと思わないでください。」
心の臓をぎゅっと掴まれたような感覚。
「さぁ、テッサイに治療してもらいましょ。部屋に戻ってください。朝ごはんも、部屋に運びます。」
その後暫く、魂が揺れるような感覚に襲われた。
