第65章 千年血戦篇
家に帰ると、良い香りがたちこめている。
「おかえり」
「ただいま」
母親との短い会話を交わした
「珍しいね、いつも部屋に篭もるのに」
「なにか手伝うよ」
「あらー嬉しい。明日、弓矢でも振ってくるんじゃない?」
それもまた冗談とも笑えないんだけど。
「今日、面談があってさ。文系私大を目指すのでいいかな。」
「理系には進めないでしょ~」
「苦手科目だからね。」
「でもうちは、国公立であってもどこであっても、進学するなら奨学金は借りてもらうからね」
「わかってるわかってる。大学の費用、洒落にならんからね。」
「はい、これ乱切りして。それで、将来の夢とかはある?」
「お母さんは何になって欲しい?」
「ん〜。手に職つけてほしいな、とか。安定した所に勤めて欲しいとかはあるけど。ポインティが楽しく幸せに暮らせるのなら何でもいいよ。」
「奨学金を返さないといけないもんねえ」
「そうよ〜。手、危ないから猫の手にしてね」
「はいはい」
ちょっと包丁で切るくらいの傷、なんてことないんだけどな。
将来、楽しく、幸せに、か、
「できたよ、火にかけるね」
「そしたら、鍋を見といてね」
「なんかさもし私が、世界を救うヒーローになるって言ったらどうする?」
「懐かしい、あなた小さい頃、世界を救う魔法使いのアニメにハマって本気でそうなろうとしてたわよ」
「そうだっけ?」
「ヒーローであっても、なんであっても、あなたがそうしたいなら応援するよ。」
「命の危険があることでも?」
「それを止められないのなら、親として帰る場所を守って、貴方の無事を祈るかな。」
「ふーん」
家は温かい。全て忘れて、ここにいたいと思った。
七海という一番の理解者がいて
日暮波瑠という私に好意を抱いている男の子がいて
ささこがいて、家族がいる
現世には私を守ってくれる人がたくさんいる。
それに包まれていたい。
だけど、この平穏が無くなるなんて絶対に嫌だ。
ここでは皆が私を守ってくれる。だから、私は尸魂界からこの平穏を守りたい。
「ささこ、お願いがあるの」