第65章 千年血戦篇
「ブラックコーヒー?」
「そう、これが私の燃料」
「親父と同じこといってる」
「ほんとに?じゃあ君に奢って貰っても良かったかもしれないね」
笑いながら、海岸沿いに向かった。
「あのさ、進路希望とかきめてる?」
「俺?俺は……親父が医者だから、きっと目指すんやろうなと、小さい頃から思い続けて今に至る。」
「すごい、目指せるレベルってことだよね」
「私大の医学部のつもりではいる。……そういうのも関係してるんやで、ポインティのこと知りたいと思ったん。」
「え?」
「ポインティが交通事故現場に手を合わせていたのを見て『あんな風に人の死を悼むことができる人』なんだなって思った。高校生だとなかなかおらん思うし。」
全く同じこと思ってた。
「君も、命を救う仕事だね」
「ポインティも?」
「あ、いや、んー。わからないけど。でも、その夢、叶うといいね。お医者さん向いてると思うよ。成績とか知らないけど。」
「俺、学年トップやで」
「まじ?」
「前にもその話したやん、なんなら数学のノートとか生物のノートとか、前は古典のノート貸したし」
「あーーーー、古典のノート!今日めっちゃ助かった!」
ささこ、着々と距離詰めてるやん。
「役に立ったんなら良かった。」
「お勉強、頑張らないとね。」
「でも、俺、勉強嫌いやねん。勉強のことも将来のことも考えなくても良くなればいいのにって思う。」
「医学部目指そうとしてる人の言葉ではないね」
「たとえばさ、急に世界の機能が停止して、ぱっと消えてしまう……とかさ。それどころじゃなくなるやろ?」
「それはちょっと冗」
冗談が過ぎる。けど、彼は今、本当にそうなるかもしれない事実を知らないから、言葉を飲み込んだ。
「でも、日常が一番。変なこととか無い方がいいよな。そんなファンタジーなこと起こるはずもないし、起こったら起こったでどうしようもない。」
「日常に飽きて、非現実的な事を夢見る気持ちはわかるけど、君の言う通り、日常がいいよ。」
「無い物ねだりなだけやな」
空になった缶をぎゅっとにぎり、彼は伸びをした。
「さっきの話に戻るけど、人って死んだらどうなると思う?」