第65章 千年血戦篇
いつにもなく厳しい言葉をかけられてしまった。
「.......私が、隊長じゃなかったら、」
「確かにな」
平子隊長が壁にもたれかかった。
「隊長を自らの上司と認め信頼して、尸魂界のためになら散ってもええ。ここにおる死神の多くはそう思っとんねや。せやからその覚悟を踏みにじるような上は必要ない。そんな奴が指揮する組織は部下がどれだけ優秀でもあかんなる。」
彼の言葉が脳に染み込んでいく。理解している。それは的確すぎる。ゆえに私の心と乖離している。じゃあ私はどうしたらいいのか。そんな言葉を聞いたところで『確かにそうですね。彼らのことを讃えて送り出します。』とは言えない。そんなに切り替えられるほどに私の心は強くは無い。
「さっきも言うたけど、その羽織を脱いでもええ。ただし残るのなら、守りたいものの為に戦って散る覚悟を持て。中途半端な覚悟は己も他人も滅ぼすで。自分でしっかり考えや。」
平子隊長は行ってしまった。
言葉を反芻して、何度も考えた。考えるほどに己の未熟さが悔やまれる。そして最終は『なぜ私が隊長になったのか、なぜ死神になったのか』そんなことを考えることになる。
「隊長.......大丈夫ですか。」
「あ、」
リンが心配そうにみていた。
「すみません、平子隊長とのやり取りも聞いてしまいました。」
「そう」
私は踵を返した。
「中に入らないのですか。」
「合わせる顔が無いよ。」
「.......」
眉毛を下げて困ったようにして、私についてきた。そのまま詰所を出て、雨上がりの夜道を歩いた。
「い、いちおう、報告です。全員、治療済。詰所に運ばれた46人のうち9名が職務復帰の見込み無し。17名が3日程度の短期入院、21名が一番隊舎内救護室で安静を指示されています。他は独歩で宿舎へ帰宅できるまで回復しました。前線に出た隊士は皆少なからず負傷はしていますが、職務に支障はありません。」
「.......天月ちゃんの所の薬と医療班が優秀なお陰ね」
「その手配したり、組織作りをしたり、指示したのは全て隊長の裁量です。」
「でも、それは私の力じゃない。みんなの力だよ。」