第65章 千年血戦篇
間もなくして、滅却師は影に消えるように去っていった。
「隊長、大丈夫ですか。」
「……ええ。」
「次の指示をお願いいたします」
「怪我人の搬送を……レンにお願いしたい。」
「リンがレミリア五席と共に詰所にいます。連携をとっていきますね。」
「死体の処理を隠密機動班。剣術班は建物の損傷のチェックと残党が居ないかを見回って。鬼道班及び医療班は総員他の隊の応援に向かいましょう。」
一護は来てくれた。だけど、尸魂界は大きな損害を受けた。
心の支えがそれに見合わなかったときの落胆と
支えとして崇められて勝手に落胆される心の傷
どちらが苦しいだろうか。
「レミリアちゃん、怪我の具合は?」
詰所で隊士を労った。私が隊長としてできることはこのくらいのことだろう。
「すみません、一番隊を留守にした上にこのような失態を……」
「技術開発局がどれだけ大変だったかは理解しています。レミリアちゃんのお陰で技術開発局の損害は抑えることができた。それに、兕丹坊をこちらにもってきたのは良い判断だったよ。とにかく今は回復だけ考えてね。」
そして、次に向かったのは仮設の霊安室。明朝には尸魂界中で倒れている死神の遺体もここへ運ばれ、パンクするだろう。
私の横を神妙な面持ちで通り過ぎる死神の列。担架に乗せられた遺体は布で隠されている。
一番隊でも犠牲が出てしまった。東雲四席は『全体から見たら、被害は極めて少ない』と言っていた。だけど、被害を出してしまった。人が死んだ。初めて経験する『味方の死』『部下の死』いつかはと思っていたが、私の心はそれを受け入れることができないらしい。もし、他の隊で、ベテランの隊長の元で戦っていたなら犠牲にならなかったのではないか。もっと彼らに適した配置だったら犠牲にならなかったのではないか。なによりも死んだ彼らはもう二度と動くことは無い。そんな当たり前のことをひしひしと実感させられている。
私は霊安室の中に入る事が出来ないまま、立ち尽くしていた。
「この場所では隊の頭がそんな顔したらあかん。」
霊安室から出てきたのは平子さんだった。
「ここにおんのは、尸魂界を守って散った英雄や。かける言葉は謝罪やない、謝意と労いの言葉だけ。そんな顔は英雄への冒涜や。」