第65章 千年血戦篇
「氷月の【零雹華葬】を仕込むだけじゃなくて、わざわざ水月の卍解をした理由、わかる?」
刀に触れると、スンと霧が晴れていった。
「なるほど、水を操る能力で遠隔コントロールするためですか。」
「始解でもできるけど。卍解の方が出来ることも多いし。ここからなら卍解も取られない。」
「隊長、また回道の腕上げましたね。」
「まぁね。……よし、貴方は医療班引き連れて隊士の怪我の治療を。」
モニターの滅却師はリンによって斬られていく。
「皆と戦っている滅却師には水月の幻術をかけてる。だから叩くなら今だよ。」
「隊長はこの結界を守ってくださいね。」
滅却師の矢は、霊子を喰らう。故に霊子基盤の結界は意味をなさない。しかし、この石丸家の結界の構成物質は霊子だけではないらしい。四ッ石の内側は水晶に触れる者が許可した者のみを包む。奇妙な移動手段を持っていても、奴らはここには入れない。でも、水晶には死神5人以上が霊力を注ぎ続けなければならない。今、強度を保つために私も霊力を注いでいるけど、そこそこ霊力は持っていかれている。
「報告します、戦闘不能隊士8名、軽傷隊士21名、敵の殲滅数4。防壁の内と外を行き来することでなんとかもっている状態です。」
「医療班がよく動いてくれているようね。軽傷でも戦場への復帰が厳しければ後方に回しなさい。裁量は戦術課に任せるわね。」
「戦闘不能の隊士は綜合救護詰所ですぐに治療が受けられるようにしておけ!絶対に死なせるな!」
次にあった伝令は、複数の隊長の卍解が奪われたということだった。
「卍解しちゃだめって言われてたのに、どうして『待て』ができないかな。」
部下が命をかけて戦っている状況で自らも前線に出る。卍解をして、少しでも有利なればという気持ちは汲まなければならないだろう。私は安全な場所で自陣を守るしかできないから。