第32章 夜もすがら 契りしことを 忘れずは
「大丈夫だ。俺も同じに見せるから」
言葉にならない羞恥に震える蛍の髪を、くしゃりと撫でる。
甘い誘いのような言葉を優しく吹き込みながら、杏寿郎も自身の腰のタオルをはらりと解いた。
引き締まり均等に並ぶ腹筋の下。
蛍のものより大きなそれははち切れそうに天を仰いでいる。
「ほら…二人共に同じだ。何も恥ずかしいことはない」
「…っ」
同じかと問われれば頷き兼ねる。
それだけ杏寿郎の陰茎は太さも大きさも段違いだった。
思わず見入ってしまう蛍の喉が、こくりと嚥下する。
些細でも確かな蛍の反応に杏寿郎は目を細めると、ゆっくりと口角を上げて身を寄せた。
ぴたりと肌と肌が触れ合えば、欲を表す互いの雄の象徴も触れ合う。
「…ぁ…っ」
「痛いことも何もない。ただ気持ちがいいだけだ」
ひくりと蛍の腰が逃げるように揺れれば、更に後を追う。
壁を背後に逃げ道を失くす蛍の陰茎に、杏寿郎のものが被さるように重なる。
更にその密着を増すように、大きな手が二つの陰茎を握りしめた。
「ぁっあ…?」
杏寿郎自身から溢れる先走りと、蛍の放った愛液とが混ざり合う。
にちゅりと粘着質な音を立てて杏寿郎により掌握された陰茎同士が、重なり合った。
所謂、兜合わせという竿同士の性行為。
そんな男同士の性行為など知らない蛍は、揉みくちゃにされる竿同士に目が釘付けのまま離せなかった。
「あぅ…っあ…!」
「はぁ…っ蛍…っ」
杏寿郎の声が熱を帯びる。
剛健な腰が快楽を求めるように揺らげば、震えるままに蛍の腰も浮いた。
挿れられてもいないのに、まるで体を一つに繋げて律動しているかのようだ。
自身の雄も、重なる杏寿郎の陰茎も、包み込む掌もすべてが熱い。